目次
秋の田のかりほの庵の苫をあらみわが衣手は露にぬれつつ(天智天皇)
春すぎて夏来にけらし白妙の衣ほすてふ天の香具山(持統天皇)
あしびきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む(柿本人麻呂)
田子の浦にうち出でてみれば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ(山部赤人)
奥山に紅葉ふみわけ鳴く鹿の声きく時ぞ秋は悲しき(猿丸大夫)
かささぎのわたせる橋におく霜の白きをみれば夜ぞふけにける(中納言家持)
天の原ふりさけ見れば春日なる三笠の山に出でし月かも(安倍仲麿)
わが庵は都のたつみしかぞすむ世をうぢ山と人はいふなり(喜撰法師)
花の色はうつりにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに(小野小町)
これやこの行くも帰るもわかれては知るも知らぬも逢坂の関(蝉丸)〔ほか〕
著者等紹介
松坂弘[マツザカヒロシ]
長野県出身。國学院大学卒業。岡野弘彦氏に師事する。昭和48年、岡野氏の短歌雑誌「人」の創刊に参加。平成2年には短歌雑誌「炸」を創刊し、代表となる。江戸川短期大学非常勤講師。歌集『風月言問ふ』(雁書館)により島木赤彦文学賞、評論集『定型の力と日本語表現』(雁書館)により日本歌人クラブ評論賞受賞
野本翠苑[ノモトスイエン]
本名・野本真理子。東京都出身。千葉県松戸市在住。第27回全日本ペン書道展特別賞、第3回日本書道学院展特別賞受賞、現在は日本ペン習字研究会常任理事・審査員、日本硬筆書芸院展審査員、淡雅会主宰を務めるかたわら、都内デパート、松戸市成人学級・サークルなどでペン字の指導を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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