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内容説明
愛が憎しみに、光が闇に。青年王ルシアンの寵愛を一身に受けていた小姓キラが、王の妹と関係をしたという誤解から、まっさかさまに転落しゆく運命を描いた哀感のメルヘン。
著者等紹介
吉原理恵子[ヨシハラリエコ]
10月4日生まれ。福岡在住。処女作『ナルシスト』が1983(昭和58)年「小説June」に掲載されたのち、『幼馴染み』『対の絆』と次々と傑作を発表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
那義乱丸
19
積読崩し。これはJUNEなのかな。JUNE作品はあまり読んだことがない私だけど、こういうお話も結構好きだ。真実を告げることができない小姓・キラと、キラを一かけらも信じようとしない帝王・ルシアン。キラへの容赦ない仕打ちを繰り返すルシアンとそれを耐えて受けるしかないキラの心情は、読み進める程に痛さよりも悲しみとして伝わってくる。イリスからジェナスへの手紙と、真実を知ったルシアンの慟哭には落涙。そして、哀しくも美しいエンディングは言葉にしがたい余韻を残す。CDシナリオもまた違う味わいがあって興味深く読んだ。2016/03/06
蜜葉
10
あまりにも悲しい悲劇。ほんの少しのすれ違いが憎しみを生み、王の寵愛は激しい憎悪に変わった。剣で切り裂き醜い傷を残し城から追放するほどの。そして、王がすべての真実を知った時、愛した者に残された時間は僅かなものだった。読んでいて涙が止まらなかった。キラは死んでしまったが後味は悪くなかった。これほど極上な悲劇のラブストーリーはないと思う。金蓮花の「水の都の物語」のような悲しいファンタジー小説。2014/12/03
ハイジ
8
只管に悲劇でした。キラはイリスが真実を話すだろうとイリスに託し、イリスはキラが上手くルシアンにとりなすだろうとキラに託すという見事なまでのすれ違いと、そこから嘘に嘘を塗り固めねばならない展開が何とも遣る瀬無かったです。愛の深さ故にキラを骨の髄まで憎み抜くルシアンの姿と、どうせ死ぬならルシアンに殺して欲しいと望むキラの姿が悲しくも美しく、胸打たれました。手紙を読み終えたルシアンの衝撃、苦悩、慟哭はあまりに悲痛。BL以前の所謂JUNEはおそらく本書が初めて。悲劇的なのですがどこまでも美しさがある作品でした。2014/09/12
あお
5
昔、ルビー文庫版を読んだことあり。その後、ドラマCDも経験して再読に近い形。悲劇、悲恋。でも今のBLにはない人間の根本的な「小さな悪」が描かれている。恐くて言えない本当のこと、積極的についた嘘ではないけれど結果的にそれは「嘘」になり、大きな罪になる。目の前のことから逃げ、積極的に知ろうとしなかった人間も罪の一端を背負うことになり取り返しのつかないことになる。人間の「業」は底が浅くて罪深いとしみじみ思います。 満足度 : ★★★★★2010/04/09
みなと
4
辛くて仕方なかった。我慢していた涙が最後の最後であふれて止まらなくなった。シリアスでも希望のあるBLよりこちらの方が私は好きです。2010/05/17