出版社内容情報
こころは脳なのだろうか。臨床にも影響するこの問いに、精神科医が挑む。ゾウリムシからコンピュータまで考察し、意識の謎に迫る。
第1章 私は脳の中にいるのか
局在と反射/父の話/私らしさの起源/フィネアス・ゲージの問題
第2章 動物機械・ゾウリムシの確率的知覚
ゾウリムシの生物物理/方向転換の化学/ゾウリムシの「好み」と集団的思考
第3章 細胞が連なり、神経が生まれ、しかし脳はまだない
海綿の神経学/ヒドラの神経学/クラゲの神経学/脳なきオートマトン
第4章 空気人形からガンダムへ、そして仮想中枢へ――身体イメージの歴史的変遷
アリストテレスとガレノスと空気人形/デカルトの身体観/
トマス・ウィリスの反射/デカルトとガンダム/二一世紀の身体観へ
第5章 私という現象は命がそうであるように閉鎖系なのか――オートポイエーシス論を通して考える
オートポイエーシス/ニューロンか表象か/表象は非連続なのか/
ゾーエーとビオス/意識は閉鎖系なのか
第6章 再入力による仮想中枢の明滅と表象――こころの始まり
表象と記憶/脳と意識のサンドウィッチ理論/
再入力とエントロピー/仮想中枢と辺縁
第7章 マシンは私になれるのか
封筒の裏紙で/デフォールト・モード・ネットワーク/
他者と不可分な私/一つきりのマシンは私にはなれない
第8章 ミラーニューロンが起こす動作は誰の意図か
ミラーニューロンの問題/つられるということの意味/
脳の外側にある私
第9章 閉じる言葉、開かれた言葉
「ことばの前のことば」/長男のフーフー/非在の現前/
唯夫君のフーフー/閉じる言葉、開かれた言葉
第10章 死を超えてあるいはいくばくか残るかもしれない私のこと/イデアの道/
言葉のもつ本来の意味/私の一貫性を支えるもの/表象意識の残響
第11章 私たちの感覚器は着脱可能な外付機器かもしれない――ヤスパース復権の可能性
意識障害の局在論/ヤスパース復権の可能性/
私という演算装置の境界は身体か/表層意識の三層
第12章 もしもすべては脳が決めたもうた必然であるのならば――脳と倫理
倫理の三つの流れ/てんかんの中年男性のエピソード/
ソーフロスネーの気配/カントの正義/精神療法の格率
第13章 機械論、機能主義、多元論、そして愛について
機械論/局在論から多元論へ/機能主義/
こころとは何か/そして愛
兼本浩祐[カネモト コウスケ]
愛知医科大学精神科学講座教授
内容説明
こころとは私たちの脳のことなのか。言い換えるなら、私たちは過不足なく脳なのか。こう問うと、若い同僚からすぐに「では、いったい脳以外のどこにこころがあるというのですか」と反論されてしまう。私が脳にいないなんて、脳科学がこれほど進歩した世の中でなんて非常識な、と。しかし、私らしさという性質を考えてみると、社会の中で私がどんな位置どりをしているか、これまで過去に私はどんな行動をしてきたかなど、さまざまな側面があり、脳はそれぞれの側面に対して異なった濃淡をもって関与をしていると考えられる。これをすべて脳の作用の物理的関数だけで解き明かせるのか。クラゲ、赤ん坊、ミラーニューロン、てんかん、ヤスパース…心脳問題に精神科医が挑む。
目次
私は脳の中にいるのか
動物機械・ゾウリムシの確率的知覚
細胞が連なり、神経が生まれ、しかし脳はまだない
空気人形からガンダムへ、そして仮想中枢へ―身体イメージの歴史的変遷
私という現象は命がそうであるように閉鎖系なのか―オートポイエーシス論を通して考える
再入力による仮想中枢の明滅と表象―こころの始まり
マシンは私になれるのか
ミラーニューロンが起こす動作は誰の意図か
閉じる言葉、開かれた言葉
死を超えてあるいはいくばくか残るかもしれない私のこと〔ほか〕
著者等紹介
兼本浩祐[カネモトコウスケ]
愛知医科大学医学部精神科学講座教授。1957年島根県松江市生まれ。1982年京都大学医学部卒業。2001年より現職。専門は精神病理学、神経心理学、臨床てんかん学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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