安楽死を選ぶ―オランダ・「よき死」の探検家たち

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  • サイズ B6判/ページ数 252,/高さ 19cm
  • 商品コード 9784535983991
  • NDC分類 490.15
  • Cコード C1036

出版社内容情報

合法化から10年、国民の支持8割超。「安楽死のできる国」オランダの人々が選ぶ「よき死」の現在を、現地在住の著者が描く。

はじめに── 一〇年ぶりの再会  

オランダ・ファクトシート  


[1部 医師による安楽死]

1章 アネカ叔母さんが獲得した安楽死 
活気にあふれた叔母さん  
独立した生活ができない  
安楽死に向けて動きだす  
死を迎える  
「安楽死ができてよかった」

2章 「安楽死法」ができるまで 
安楽死を認める枠組み  
「安楽死法」はなぜややこしいのか  
医学的決断としての安楽死  
生命を短縮する医療的処遇  
「安楽死法」で定められたこと  
地域安楽死審査委員会  
安楽死はきちんと報告されているか?  
申告される安楽死の概要

3章 安楽死を実施した医師  
音楽好きの家庭医  
ヘンクと安楽死  
安楽死をとりやめたヴァイオリニスト  
初めての自死援助  
思いがけない事態  
忘れがたい二つの経験  
安楽死と人生観

4章 安楽死をしない医師 
かつて島だった漁村  
漁村のジェントルマン医師  
なぜ安楽死に反対なのか  
緩和ケアへの期待  
安楽死反対派の苦境

5章 認知症患者の安楽死  
認知症との出会い  
増加する認知症患者の安楽死申告  
認知症患者の安楽死 事例1  
認知症患者の安楽死 事例2  
後期認知症患者の安楽死が投げかけた波紋  
タイミングの難しさ

6章 「人生もう十分」高齢者の安楽死  
病気でなくても安楽死を望む人たち  
「ドリオンのピル」  
スホーンハイム事件とシャボット事件  
ブロンガスマ事件  
「自由意思から」の市民イニシアチブ  
陽の目を見た医師会の報告書  
「人生もう十分」高齢者の安楽死 事例

7章 安楽死を推進する
「オランダ自発的生命の終結協会」   
最大の安楽死推進団体  
「安楽死法」が実現して  
医師の手は必要ない?  
生命の終結クリニック  
医師会との対立

8章 安楽死に反対する「オランダ患者協会」  
保守的な町、フェーエンダール  
緩和ケアの促進  
無意味・過剰な治療は拒む  
患者のオートノミーに疑問符  
「生命保護医療」と「相対的医療」  
ケアの質を高めること  
現在のオランダ患者協会

9章 終末鎮静と安楽死  
重たい課題  
緩和ケアと緩和鎮静  
終末鎮静に関する規定  
終末鎮静と安楽死の比較  
医師にとっての違い  
本人と家族にとっての違い  
ある日本人のオランダ的な死


[2部 自己安楽死]

10章 「よき死」の発掘者  
ハーレムの家  
「安楽死法」から一〇年経って  
拡がる自己安楽死  
「よき死」とは何か  
三種類の自己安楽死  
生命の終結は医師の使命ではない  
一〇〇歳を拒絶したムック

11章 自己安楽死とは、いったいなんじゃ?  
安楽死を拒否する医師たち  
医師を説得するテクニック  
誰のための「安楽死法」?  
自己安楽死という方法  
自殺ほう助罪との関係  
自己安楽死の統計

12章 断食による自己安楽死  
断食自己安楽死の前提  
断食による自己安楽死 事例1  
断食による自己安楽死 事例2

13章 薬物コンビネーションによる自己安楽死   
怖気づくな、薬物リストに  
努力をいとわない国民性  
薬物コンビネーションによる自己安楽死 事例1  
薬物コンビネーションによる自己安楽死 事例2

14章 ヘリウムによる自己安楽死  
本当に尊厳ある死?  
ヘリウム方法の特徴  
ヘリウムによる自己安楽死 事例1  
ヘリウムによる自己安楽死 事例2

15章 医師抜き自己安楽死  
自死のコンサルタント  
NVVEのコンサルティング  
「自由意思で生きる」と「デ・エインダー」  
自己安楽死を勧める哲学者  医師抜き自己安楽死 事例1  
医師抜き自己安楽死 事例2


[3部 ふりかえり]

16章 自己安楽死の原点   
自己決定権のジャンヌ・ダルク  
自発的安楽死情報センター  
ベストセラーと失敗した試み  
活発な引退生活

17章 なぜオランダ?  
首をかしげること  
自主的で先進的な国?  
共和国と列柱社会の伝統  
一九六〇年代の変身  
オープンでおしゃべり好き  
オランダ安楽死の五つの特徴

グランド・フィナーレ  

付録 100歳を拒絶したムックが獲得した自己安楽死
文献・注


【著者紹介】
通訳

内容説明

世界に先駆けての法制化から10年あまり。現在のオランダでは、安楽死が緩和ケアの一環となり、本人が責任をもって選びとる最期の選択肢の一つとなっている。彼の地で安楽死にかかわる人々は、それをどのように受け止めているのか。現地在住の著者が描く、「よき死」をめぐる探検旅行。

目次

1部 医師による安楽死(アネカ叔母さんが獲得した安楽死;「安楽死法」ができるまで;安楽死を実施した医師;安楽死をしない医師;認知症患者の安楽死;「人生もう十分」高齢者の安楽死;安楽死を推進する「オランダ自発的生命の終結協会」;安楽死に反対する「オランダ患者協会」;終末鎮静と安楽死)
2部 自己安楽死(「よき死」の発掘者;自己安楽死とは、いったいなんじゃ? ほか)
3部 ふりかえり(自己安楽死の原点;なぜオランダ?)

著者等紹介

シャボットあかね[シャボットアカネ]
1947年東京生まれ。父アメリカ人、母日本人。国籍、アメリカとオランダ。ワシントン大学およびピュージェットサウンド大学で修士号取得後、東京教育大学大学院で日本文学研究。1974年からオランダ在住。現在通訳、コーディネート、執筆業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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mazda

32
自分が選べるのなら安楽死がいい、と思ってこの本を読んで見ました。安楽死を認めているオランダでは、安楽死を選んだことで最後までもとても穏やかに過ごせた上に、家族も安堵している人がいるかと思えば、直前でやめる人、あるいは安楽死の手助けをするのを拒む医者など、いろんな人がいるようです。オランダは安楽死を認めていますが、認めていない国でも実際にはそういった事例があるようです。最期のときを自分で決めることができるのがいいのか、永遠のテーマだと思います。2016/05/20

テツ

21
衰えた肉体や脳味噌を抱えていつまでも生きていたいというきもちが全く理解できないし別にいつ死んでも困らない自分には理想的な最期である安楽死について。いや実際問題としてさ。みんな身体にも精神にもガタがきている状態で惨めったらしくへばりついて生きていたいの?そんなに人生って素晴らしい?自分から死のうとは思わないけれど人間としての尊厳(僕の個人的な尺度でね)を無くしてまで生きていたいという思考が理解できない。クソみたいな人生なんだから終わるときくらい自分で選択させてくれ。日本にもこのシステムが根付きますように。2017/10/24

ykshzk(虎猫図案房)

10
タイトルからして受け入れ難い人もいるはずだ。どう考えるかは個人の自由、の究極のような問題で、大事なのはこれをを正しく議論出来る社会であること。生死に関わる話となるとメディアが感情的なストーリーにしがちだったり、それが人々の判断の邪魔をする社会では、議論の成熟は程遠いだろう。オランダにおける安楽死推進派・反対派それぞれの団体の思い、また関わる医師たちの思いを読んで湧いてきた気持ちは、生きる希望。邦訳と共にURLが紹介されていた、致死量の薬で自らの生を完了する99歳の女性を家族が撮影した映像は見る価値がある。2020/07/13

doublebeko

2
図書館で斜め読み。オランダがいかにして安楽死を社会に定着させたのかが分かる一冊。日本人は個人の生死が家族の関わりに左右されることが多い。オランダもまたそうした家族的な要素もあるが、個人の意思の尊重という意味においてははるかに成熟した意識を持った国のように思った。医師と患者の関係もオランダの安楽死事情を知るには欠かせない視点と感じた。2017/01/17

my

1
学校のレポート課題の題材として読みましたが、非常に論理的で分かりやすい内容でした。シャボット事件で渦中の人となったシャボット医師のご親族の方が著者だったこともあり、少し偏った見解もみられましたが、彼女にしか解読できないオーソリティが豊富にあったので、重宝しました。まだまだ日本は安楽死の法的許容性の基準についてきちんと明文化されきれていないので、オランダの歴史を参考に、日本も舵を切れることを願っています。2014/12/29

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