出版社内容情報
うつ病の臨床に三十余年携わった世界的精神医学者が患者、家族、若手医師、コメディカルが抱く多くの疑問に平易かつ丁寧に答える。
はじめに
第1部 うつ病治療の表舞台
――うつ病に関してここが知りたい
第1話 うつ病とひとくちに言っても千差万別
――うつ病の諸相
第2話 これらは皆、うつ病なのか?
――抑うつ気分、うつ状態、うつ病、そしてさまざまなうつ病のタイプ
第3話 うつ病はいつの時代に現れたのか?
――双極性障害とうつ病が異なる 病気とされるまでの歴史をたどる
第4話 なぜ人はうつ病になるのか?
――心因の関与を中心にうつ病の発症機序を再考する
第5話 世界中どこにでもうつ病はあるか?
――「欧米よりも日本の有病率は低い」は本当か?
第6話 現在のうつ病の治療にどのくらいの力があるのか?
――日本のうつ病治療は薬物療法偏重か?
第7話 うつ病の標準的な薬物治療とは?
――抗うつ薬+抗不安薬+睡眠薬 の組み合わせは多剤併用にあたらない
第8話 うつ病治療はどのように発展してきたのか?
――三環系抗うつ薬から SSRI/SNRIへ
第9話 薬には副作用があるから薬を使わない治療が正しい?
――最近気になる極端な考え方
第10話 いつまで抗うつ薬を飲み続けるべきか?
――症状がとれてからも最低半年は続ける
第11話 精神療法への期待
――うつ病に用いられるのは主に 認知行動療法
第12話 薬物療法と精神療法は二者択一ではない
――「薬だけに頼ること」も「薬 の世話には一切ならない」のも間違い!
第13話 薬や精神療法以外にどんな治療法が あるのか?
――治りにくいうつ病の治療に用 いられるECT
第14話 うつ病の治り方
――うつ病の回復は「行きつ戻り つ」
第15話 うつ病の予後は良いか?
――つきまとう再燃・再発のリスク
第16話 うつ病の慢性化の問題、治療抵抗性の問題
――うつ病の三から四割はなかなか治らない
第17話 適応障害や気分変調性障害とうつ病はどこが違うのか?
――診断概念のオーバーラップと区別の難しさ
第18話 不安はうつ病につきもの。不安障害とどこが違うのか?
――うつ病の過半は不安障害を併 存している
第19話 現代型うつ病はうつ病か?
――自責の念がうすく、他罰的
第20話 高齢者のうつ病
――そのほとんどが身体疾患を併存
第2部 うつ病医療の舞台裏
――うつ病の診断法・治療法の改善に向けた課題
第21話 治療の途中で診断が変わることがあるのはなぜか?
――DSM診断が主流になって浮上した課題
第22話 DSM診断の功罪
――DSM自体の問題というよりも使い方が問題の場合もある
第23話 DSMを超えて
――サブタイプを追加して適切な治療につなげる
第24話 臨床症状のみで診断することの限界
――避けられない診断のグレーゾーン
第25話 経過を見ることの意義
――初期診断にしばられるな
第26話 客観的診断技術への期待
――より確実な診断を目指して
第27話 求められるより簡便で正確な診断法の開発
――うつ病を精神科医だけが診療する時代ではなくなった
第28話 うつ病医療におけるプライマリ・ケア医の役割
――精神科医から一般医に望むこ と
第29話 プライマリ・ケア医へのメッセージ
――うつ病の診断の基本
第30話 うつ病の予防とプライマリ・ケア医
――早期発見・早期治療の重要性
第31話 ドラッグ・ラグ解消に向けて
――新薬の開発には患者・家族の協力が不可欠
第32話 「治験」に関与した経験から思うこと
――プラセボ反応率の上昇にどう対応するか?
第33話 動物モデルを用いたうつ病研究
――動物にもうつ病はあるのか?
第34話 患者・家族による全国組織が必要
――うつ病治療の前進に向けた大きな力
第35話 自殺とうつ病の関係
――自殺対策のメディカル・モデル
第36話 社会復帰のためのサポートが重要
――「うつ病リハビリ」の考え方
第37話 精神障害に対する偏見をなくすにはどうしたらよいか?
――オーストラリアBeyondblueから学ぶ
第38話 JDC(旧JCPTD)とは何か?
――精神科医と一般科医の間のコミュニケーションを求めて
第39話 日本のうつ病医療は世界に比肩できるか?
――研究面でも臨床面でもまだまだ遅れが目立つ
おわりに
【著者紹介】
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内容説明
日本で初めてクレペリン賞を受賞した精神医学者が、うつ病について考え続けたことを平易に語った優れた解説書。
目次
第1部 うつ病医療の表舞台―うつ病に関してここが知りたい(うつ病とひとくちに言っても千差万別―うつ病の諸相;これらは皆、うつ病なのか?―抑うつ気分、うつ状態、うつ病、そしてさまざまなうつ病のタイプ;うつ病はいつの時代に現れたのか?―双極性障害とうつ病が異なる病気とされるまでの歴史をたどる;なぜ人はうつ病になるのか?―心因の関与を中心にうつ病の発症機序を再考する ほか)
第2部 うつ病医療の舞台裏―うつ病の診断法・治療法の改善に向けた課題(治療の途中で診断が変わることがあるのはなぜか?―DSM診断が主流になって浮上した課題;DSM診断の功罪―DSM自体の問題というよりも使い方が問題の場合もある;DSMを超えて―サブタイプを追加して適切な治療につなげる;臨床症状のみで診断することの限界―避けられない診断のグレーゾーン ほか)
著者等紹介
樋口輝彦[ヒグチテルヒコ]
1972年東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院、埼玉医科大学、群馬大学医学部、(カナダ)マニトバ州立大学医学部生理学教室神経内分泌研究室、埼玉医科大学精神医学講座講師、群馬大学医学部精神神経学教室講座助教授、昭和大学藤が丘病院精神神経科教授、国立精神・神経センター国府台病院副院長、同院長、同センター武蔵病院院長、2007年同センター総長を経て、2010年独立行政法人国立精神・神経医療研究センター(現国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター)理事長・総長、2016年3月退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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