出版社内容情報
心理臨床の枠を超え、女性として生きる中で出会う困難や違和感を、家族・当事者・社会・性別というさまざまな位相から語り尽くす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とよぽん
36
生きづらさは、今や老若男女を問わず相当の割合で感じている、というのが日本の現状だろう。しかし、本書は信田さよ子さんが、女性ならではの生きづらさに焦点化して編集した、奇跡のような(編者の言葉)執筆陣のラインナップという1冊である。家族、心身、社会などいろいろな関係性の中で、傷ついたり自分を責めたり慣習にとらわれたりして、女性であるがゆえの生きづらさを増幅していく。その事例が次から次へと書かれている。一番印象に残ったのが北原みのりさんのエッセイで、「当事者とは誰なのか」という指摘が目からウロコだった。2020/06/07
ヒデミン@もも
30
読みやすく、わかりやすい。女性だから生きづらいこと、たくさんある。女性しかわからない幸せもある。2020/03/29
katoyann
26
19人の著者による女性の生きづらさに関する論稿集。DV、児童虐待、依存症、摂食障害、発達障害、痴漢被害などテーマは多岐にわたる。中でもいわゆる高葛藤事例(DV被害による離婚事例)における面会交流推奨の問題点に関する論稿(千田有紀先生)が興味深かった。共同親権推進法を法制化する動きが活発であるが、DVが絡むケースは子どものメンタルヘルスに悪影響を及ぼす。被害女性もメンタルのバランスを崩すだけでなく、調停のための弁護士費用を負担することになり、経済的にも厳しくなる。ほか、エッセイも面白かった。2022/07/14
ichigomonogatari
7
今の日本社会における女性の生きづらさについて様々な角度から考える冊子。その視点は家族、依存症、貧困問題と多岐にわたり、どの問題も単純には語れないものだということ、ジェンダーの視点が欠かせないことをを痛感させられる。ほとんどが女性による文章だが、その中で男性二人の男の介護や加害者性についての論がとてもよかった。2020/12/17
る
3
北原みのりさんの「当事者」と「被害者」の違いについてのエッセイや、千田有紀さんの「とにかく裁判所には近寄らないで離婚しなさい。」というアドバイスはためになったし考えさせられた。 「女性の生きづらさ」の本で男性執筆者やトランス女性の話があるのはどうなんだと思っていたのですが、平山亮さんの文章は素晴らしく良かった。「男ゆえの困難」を声高に語ることで女性に「痛み」を与える危険性を指摘していて新たな発見でした。2023/05/27
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