出版社内容情報
詰将棋は「将棋の終盤の練習問題」と捉えられることが多いものですが、
実はこれは詰将棋のひとつの側面でしかありません。実戦から離れ、
独自の進化を遂げた詰将棋の世界は、練習問題としての詰将棋からは想像も
つかないほど、広大で豊かなもの。本書ではこの世界を案内します。
詰将棋の詳しいルール解説からはじめ(第1章)、実戦では考えられないような
奇想天外な構想の数々の解説(第2
目次
第1章 詰将棋―古くて新しいパズル(詰将棋の歴史;詰将棋の定義1―「最善手」の定義 ほか)
第2章 将棋の禁じ手をめぐって(詰将棋と打歩詰1―攻防不成と玉方不成;詰将棋と打歩詰2―成生打診 ほか)
第3章 盤上のサーカス(将棋盤をキャンバスに1―曲詰の歴史;将棋盤をキャンバスに2―現代の曲詰 ほか)
第4章 フェアリーの楽園(最善と最悪1―協力詰;最善と最悪2―協力詰の仲間たち ほか)
著者等紹介
齋藤夏雄[サイトウナツオ]
1973年生まれ。広島市立大学大学院情報科学研究科准教授。専門は代数幾何学。2002年頃より詰将棋創作を始める。『詰将棋パラダイス』、『将棋世界』誌に数作入選。2003年に『将棋世界』誌に入選した作品で看寿賞短編賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kokada_jnet
56
詰将棋のルール、各種テーマ、テクニックを、詰将棋の名作を紹介しながら詳細に解説していくもの。詰将棋マニアでない読者でも、そのマニアックな世界を楽しめる(というか引き込まれる)、非常に画期的な解説・入門書。若島正『盤上のパラダイス』と並ぶ、歴史的な名著。2021/05/23
ま
27
詰将棋独特の手筋・主題、打ち歩詰めの禁じ手がもたらす奥深さ、フェアリールール…表紙デザインよろしく、この世界にはこんな宇宙が広がっていたのかと唸らされる。将棋好きには是非一度読んでもらいたい名著といっていいのでは。あんまりハマると棋力がバグりそうではあるが。2022/03/19
原玉幸子
17
自身の実力だから仕方がないことですが、解けた!と思った3手詰でも殆ど正解せず、奥が深い。深過ぎる。帯には「最良の入門書」と書かれていましたが、入門どころではない正しく将棋の世界に迫る疾風怒濤の「ダイジェスト予告映像」でした。実は、その複雑さ故に一つの駒の動き方の条件を変えただけで違う「世界」が現れてしまう(駒の動き方のルールを変えると最早将棋とは言わない)気がしていたのですが、なんと協力詰、安南詰、レトロ、覆面駒等々の「フェアリー詰将棋」なるものがあると初めて知りました。驚き!(◎2023年・秋)2023/08/05
やすお
9
詰将棋がいかに奥深いものなのかを解説している。クイズやパズルが好きな私は、詰将棋も好きだ。1手詰めから3手詰めのやさしい問題をさくっと解くと脳のリフレッシュにもなる。で、そんな詰将棋のことをもう少し知りたくて、本書を読んだ。想像以上に深い世界だなというのが本音だ。フェアリールールでの詰将棋は、脳の別の部分を活性化しそうなほどの衝撃だった。他にはいかに将棋の禁じ手を活用した問題の紹介など、自力では解けないけどこんな問題を作成する人がいることに驚いた。2022/09/14
yasuhitoakita
2
ついに読了。詰将棋のルールからはじめて、打ち歩詰め回避、曲詰等様々なテクニック、さらに安南詰等通常の詰将棋のルールを少し改変した世界(フェアリーワールドと本書では呼ぶ)の紹介まで盛り沢山。打ち歩詰め回避だけで本書の1割くらいを占めており、改めて打ち歩詰めの禁というルールはとても偉大なのだなと思った。詰将棋好きも好きじゃない人にもオススメ。2021/05/04