出版社内容情報
熱現象を数理物理学的に厳密な形でとらえ、熱力学の公理論を説く。必要とする数学として、多様体の入門的な理論も解説する。
内容説明
熱現象を、数理物理学的に厳密な形でとらえる。多様体の理論を用いて、熱力学を公理論的に構成する。必要とする数学の解説も充実。
目次
第1部 数学的準備(関係と順序;テンソル;多様体;多様体上のテンソル場と微分形式)
第2部 熱力学の公理論(熱力学第1法則と内部エネルギーの存在;熱力学第0法則と絶対温度;熱力学第2法則とエントロピー;自由エネルギーとエンタルピー;基本的な熱力学的関係式;合成系)
第3部 具象的な熱系への応用(閉じた系;開いた系)
付録
著者等紹介
新井朝雄[アライアサオ]
1954年埼玉県に生まれる。1976年千葉大学理学部物理学科卒業。1980年東京大学大学院理学系研究科博士課程中退。現在、北海道大学名誉教授、理学博士。専門は数理物理学、数学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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にしもん
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全体的には見通しよく書かれたよい本。数学的準備のパートは知っていることばかりなので省略。5章から読み始めた。公理は天下りではなく物理的な考察から導いている。逆にそれらの公理から初めて物理的な描像を得るのはよい演習になるだろう(まだやってはいない)。準静的過程の"数学的な定義"がはっきり書いていなくてわからない。準静的過程 = 「M上の任意の曲線」でよいように思うが...また、公理 IX で使っている極限の記号は誤りだと思われる。lim_{T(xα) → 0} ではなく lim_{xα} と書くべきかと。2021/03/04
ヤッジマン
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9章まで読了。 4章までは数学の準備であり、一部計算が追いつない部分もあったが、無駄なくわかりやすく解説してくれていると思う。 5章からの熱力学の構成に関しては公理が直感的ではなく、公理の必要十分性は読者の難しい勉強になるであろう。 熱力学を勉強するとエントロピーって何と必ずなるけれど、この本でもあまり物理的なあたらしい視点が得られるわけではないので注意。 個人的には経験的温度の導入は気に入っている。この部分だけでも読んでみてほしい。 多様体の勉強と、その物理学的な応用を考えるいいきっかけになった。2021/02/05