内容説明
靖国神社は「奇妙な両棲動物」になる道を自ら選択した―。今こそ知るべき戦後日本のねじれ。あの話題の書、参考資料を充実して緊急出版!
目次
第1章 何が問われているのか
第2章 「謀略史観」と「せっかく史観」
第3章 靖国問題の歴史的推移
第4章 「三つ巴」や「ねじれ」の構図
第5章 「公」と「私」の日本的構造
第6章 靖国神社戦後改革の真相
第7章 靖国神社はどこへ行く?
付録(神道指令(全文)
宗教法人令及びその改正部分(抄)
靖国神社戦後改革とその周辺事項の年表的整理)
著者等紹介
三土修平[ミツチシュウヘイ]
1949年東京都に生まれる。1972年東京大学法学部卒業。経済企画庁、神戸大学大学院経済学研究科、愛媛大学法文学部教授を経て、2000年より東京理科大学理学部教授。経済学博士(神戸大学)。経済学の研究・教育に携わる傍ら、永年宗教問題にも取り組み、求道的側面と社会批評的側面との両面で活動。1986年奈良の東大寺(華厳宗)で得度。「宗教と社会」学会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takao
3
ふむ2024/04/24
HARU
1
国家のために戦争で死んだ人を英雄化し、国民を新たな戦争に動員するための動機付けにしていくメカニズムは英、仏、独、伊、近代西欧の国民国家に共通していた。その日本バージョンが靖国神社。ポツダム宣言を受諾拒否したままの空間への首相参拝は、「結論はもう一度戦争をやり直すことで決めましょう」と提案しているに等しい、という考え方は極端すぎる。原爆を落としたアメリカが戦争犯罪を問われず、侵略を行ったとはいえ敗戦国だけが東京裁判で裁かれるというのは欧米の傲慢と思う。天皇の色を薄くして追悼公的施設化するのは賛成。2014/02/02
マンデリン
0
靖国神社の私法人化はGHQから無理やり押しつけられたというよりは妥協の産物であるという目玉の主張のほか、明治最初期の神道国教化の模索や現代にもつながる神社非宗教論などの事実の摘示が興味深かったです。著者が靖国神社の行方に対してあまりラディカルな態度をとらず、靖国神社はいずれ岐路に立つだろうがそれは靖国自身が選べばいいと述べる点は多くの読者にとって受け入れやすいとも思います。もちろん、日本政府が公式の立場として「日本版匕首伝説の府」たる今の靖国神社に関わるべきではないという一般常識に立った上での話ですが。2021/02/23