出版社内容情報
トランプの政策は、世界経済をどう変えたのか?
「アメリカ・ファースト」を掲げ、高関税を武器に各国へ圧力をかける、いわゆるトランプ関税。これは貿易だけでなく、企業の投資やサプライチェーン、国際ルール、さらには米ドルを中心とする金融秩序までを揺さぶっている。
では、トランプ関税は本当にアメリカの貿易赤字を減らし、製造業を取り戻すことができるのか? 日本や世界の国々は、トランプの政策にどう向き合うべきなのか? そして、戦後築かれてきた国際経済秩序はどこへ向かうのか?
本書では、第一線で活躍する6人の経済学者が、経済理論と実証研究、最新のデータを手がかりに、トランプ大統領を生んだアメリカの現状から、関税・通商政策の背景とその影響までを多角的に検証する。
日本の対米輸出、WTOと貿易協定、東アジアのサプライチェーン、産業政策、格差と地域社会、対米投資と国際金融まで、論点を一つずつ解きほぐす。さらに理論モデルによる数量分析から、関税が各国の実質所得や産業に何をもたらすのかも考える。
単なる関税政策への賛否を超えて、変わりつつある世界経済を理解し、これからの国際秩序と日本の役割を考えるための一冊。
【目次】
序章 トランプ関税とは何か?[植田健一・木村福成]
1 戦後の国際経済秩序が崩れた日
2 トランプ関税に至るアメリカの貿易政策の推移
3 本書のアプローチと構成
第1章 トランプ関税が引き起こした世界貿易の変化[遠藤正寛]
1 「解放の日」
2 アメリカの貿易赤字の主因
3 貿易赤字の安全保障と経済への影響:全体
4 貿易赤字の安全保障と経済への影響:部分
5 アメリカの輸入の変化
6 日本の輸出の変化
7 おわりに
補論 米中貿易摩擦の経済的・軍事的帰結
第2章 貿易協定の役割[椋寛]
1 国際貿易ルールからの逸脱
2 トランプ2.0関税とWTO
3 トランプ2.0関税とRTA
4 おわりに
第3章 東アジア諸国への影響と対応策[木村福成]
1 トランプ関税と東アジアのサプライチェーン
2 トランプ1.0、2.0関税の概略
3 トランプ2.0関税に対する第3国の反応
4 貿易ルールをめぐる動き
5 おわりに
第4章 トランプ関税の背景とその国際的インパクト[古沢泰治]
1 トランプ関税の背景
2 トランプ関税の国際的インパクト
3 おわりに
第5章 トランプ関税・産業政策と新しい自由主義の構想[小林慶一郎]
1 自由主義への反発としてのトランプ関税
2 関税交渉のゲーム理論的分析
3 産業政策としての関税
4 既成の自由主義への不満
5 新しい自由主義の試論
6 おわりに
補論 繰り返しゲーム
第6章 対米投資で解決するのか?――トランプ関税に潜む国際金融問題[植田健一]
1 保護主義が経済を毀損する
2 日本の貿易収支
3 日本の保護主義
4 関税交渉へのアプローチ
5 グローバル・インバランスの問題
6 日米関税交渉の合意と対米投資
7 未来へ向けて



