出版社内容情報
日本経済が陥っている長期停滞状況を、基礎的なデータで一つ一つ確認、どのような脱出策があるかを検討する。
内容説明
企業貯蓄は長期停滞をもたらし、政策の失敗は家計にしわ寄せされた。賃上げ・配当・円高で日本経済復活へ。
目次
第1章 失われた30年の真因と今後のトレンド
第2章 生産性以下の賃金が長期停滞を招いた
第3章 貯蓄過剰は自然治癒するのか
第4章 異次元緩和は円安誘導
第5章 円高阻止から円「防衛」へ:微害微益の終了
第6章 ボタンをどこで掛け違えたのか:好循環再考
第7章 停滞脱出への処方箋
著者等紹介
脇田成[ワキタシゲル]
1961年京都府生まれ。東京大学経済学部卒。東京大学助手、東京都立大学経済学部助教授等を経て、東京都立大学経済経営学部教授。博士(経済学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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朝ですよね
6
円安の恩恵が特定の業種に偏る点は理解していたが、グロスで見ると意外と収益率が低いのは知らなかった。財務省、経産省、日銀など様々な主体が統計を作成しているものの、それぞれにデータが不十分な点があり網羅的な課題が共有されにくい。デメリットの大きい金融緩和を継続したのには、課題が曖昧なことに加えて、政府、専門家、企業それぞれに本音と建前があり、建前が作用したと著者は指摘する。日本経済の故障箇所とは賃金が上がらないこと。これは国内の税制や雇用環境だけでなく、国際的な競争もあり複雑な問題である。2024/12/31
chiro
2
この著作で示されている日本経済復活のシナリオはとてもわかりやすくかつ的確だと感じたし、この実践こそが失われた30年に終止符を打つと共に、実施するハードルもそんなに高くなく効果も早く現れる施策だと思う。この国は内需が戻らない限りデフレからの真の脱却は難しいしここまでの日銀の円安主導政策が為し得た唯一の株価の高騰も一般家庭では恩恵に浴する事が少なかった。一部ではNISAへの誘引を危険視する向きもあるがまずは投資へのチャレンジを促す意味でも間違ってはいないと思う。これによって不労所得への関心を強める事も肝要だ。2025/02/24