出版社内容情報
法学部に入学した学生は、教養科目として「国際政治のグローバル化」、「経済のグローバル化」、「情報社会のグローバル化」……といった科目を受講する機会がある。しかしこれに対する法学側の姿勢は、「いきなり先端的な問題に目を奪われず、憲民刑を中心とする実定法科目の体系的学習に沈潜せよ。現代的な問題は、2年ぐらい学び基礎を固めた
後で考えよう」といった教育メソッドで対峙するのが典型ではなかったか。こうした姿勢が法学の学習を色褪せたものしてしまい、分野ごとの発想を固めてしまうことで、法学そのもの魅力を損なったのではないか。
そうした反省のもとで、本書は法のグローバル化を入門的に語る教科書として編まれた。
法のグローバル化は何をもたらしているのか、それを乗り越えるためにどのような方向性がありうるか、学習者に考える楽しさを味わってもらえる構成とし、既存の法学の理解にも資する教科書を目指した。
【目次】
序章 「法のグローバル化」とは何か?
[第1講]本書の問題設定とその内容……山元 一
[第2講]法にとっての「グローバル化」の意義……須網隆夫
第1部 人々の繋がりの動揺とその結び直し
[第3講]グローバル化に揺れる家族と家族法……山元 一・西谷祐子
[第4講]マイノリティの「効果的」な政治参加とは何か……伊藤一頼
[第5講]「トランスナショナルな法秩序」と憲法制定……山元 一
第2部 押し寄せ、押し返される人々/罰される人々
[第6講]揺らぐ国境・補強される国境――法と人のグローバル化と主権的国境……根岸陽太
[第7講]パスポートと国籍――国家の入国管理権のジレンマを真剣に受け止める……小畑 郁
[第8講]グローバル化と刑事法……髙山佳奈子
第3部 法のグローバル化と取引社会の変容
[第9講]経済のグローバル化と「ビジネスと人権」……大野悠介・西谷祐子
[第10講]デジタル社会・AI利活用と法のグローバル化……寺田麻佑
第4部 グローバル化する法秩序の行方
[第11講]人権保障システムのグローバル化――誰もが人権を使えるシステム(人権法)の必要性と可能性……江島晶子
[第12講]国際人権の国内裁判による実現のために……大野悠介
[第13講]違憲審査手法のグローバル化?――基本的人権の不可侵性あるいは「比例原則」をめぐる争い……栗島智明
[第14講]国際化・グローバル化と行政法……興津征雄
第5部 改めて「法のグローバル化」を考える
[第15講]法のグローバル化とパラダイム・シフト――グローバルモデルの社会科学上の位置づけと法哲学への広がり……近藤圭介
[第16講]遵法義務論と法のグローバル化……石山文彦
[第17講]法の「グローバル化」は新しい問題か――フランス法を例として……横山美夏
第17講へのコメント……近藤圭介
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