出版社内容情報
2月のウクライナに始まり、7月には奈良の事件(安倍元首相銃撃事件)が重なった2022年は、国際社会の構造を照らし出す事件と日本の2013年体制を照らし出す事件が相次いで起こるという、特殊に重要な年であった。この両者の連動を、労働市場改革、大学10兆円ファンド、カルト宗教問題、そして日本国憲法9条論等々のテーマを入口として読み解く。2022年を重要な基点として、その前後、2019年から2024年までの5年間に著者が法律時報誌を中心として公表してきた「時評」を一書に編んだ、唯一無二の現代史分析。
内容説明
日本の現在を成す堆積諸層に光を当てる。2月のウクライナ、そして7月の奈良。国際社会の構造と日本の2013年体制を照らし出した特殊に重要な2022年を断面として現代史分析に挑む。
目次
1 残骸の諸層位
2 カルト集団の政治浸透について―若干の問題整理
3 「大学10兆円ファンド」
4 「土地所有者不明事件」の怪
5 「労働市場改革」
6 ロシアのウクライナ侵攻と日本国憲法9条
7 日本の安全保障に関する初歩的な確認事項
8 エピローグ:情報のヘゲモニー
著者等紹介
木庭顕[コバアキラ]
1951年東京生まれ。1974年東京大学法学部卒業。現在、東京大学名誉教授。専門はギリシャ・ローマおよび人文主義に関する歴史学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mori-ful
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難しい……。山口二郎の本が読みたくなった。 つぎの注の一節をメモ。 「私は1980年代末に、ローマの占有概念を追いかける中で偶然、日本社会(市民社会ないし経済社会)が抱える或る根本問題、集団のメカニズムによって追い詰められた個人を体系的に守るシステムが欠如しているという問題、に気付いた。(略)ギリシャ・ローマでは人々がこの問題と全面的に戦っていた。決して勝利したわけではなかったが、その戦いは参考になると思った」(58ページ)2025/04/13
261bei
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基本的には2022-23年の著者の時評を収録したもの。ただし非常に長い補足がいくつも付せられている(紙面の都合で書けなかったのだろう)ので、既に読んでいる人にも損はない。内容は相変わらず著者の基本タームである占有概念を軸にして、日本の政治経済の欠陥を時事的な問題に即して考えるもの。2025/02/28
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