出版社内容情報
近代立憲主義の起源と展開を憲法思想・憲法理論・比較憲法の3つの観点を総合して研究する著者の立憲主義研究をまとめた書。
【目次】
序章 主題と副題をめぐる若干の回顧
Ⅰ 「政治文化としての立憲主義」という主題に寄せて
Ⅱ 「日本国憲法への一つの接近」という副題に寄せて
第Ⅰ部 「政治文化」としての法の支配と立憲主義
第1章 「法の支配」再考――憲法学の観点から
Ⅰ 「法の支配」は無条件の善?
Ⅱ 「法の支配」と「法治主義」
Ⅲ 「法の支配」と現代イギリス憲法学
Ⅳ 二つの「法の支配」論――佐藤とアラン
Ⅴ 政治道徳哲学への禁欲とその帰結
Ⅵ 改めて「法の支配」の多義性について
第2章 戦後日本公法学と法の支配
はじめに
Ⅰ 法の支配の政治文化――日米の対照性
Ⅱ 戦後公法学の出発と法の支配
Ⅲ 「厚い法の支配」と「薄い法の支配」
Ⅳ 「法の支配」の再構築
Ⅴ 日本における法の支配の価値
第3章 立憲主義と民主主義
Ⅰ 立憲主義の復権と民主主義からの反撃
Ⅱ 「立憲主義と民主主義」という問題設定の意味
Ⅲ 「プロセス的司法審査理論」とその論拠
Ⅳ 多元主義と共和主義――どんな民主主義か?
結びに代えて
第4章 ジェレミー・ウォルドロンの違憲審査制批判について
はじめに
Ⅰ ウォルドロンの議論は「人民立憲主義」か?
Ⅱ 「ハイブリッド型」の人権保障システム
Ⅲ ウォルドロンの違憲審査制批判の概要とその特徴
Ⅳ ファロンによる違憲審査制擁護論とその問題点
Ⅴ タシュネットによる論争の評価とその意義
Ⅵ 憲法理論の二つのレベルとその役割
結びに代えて
第5章 政治文化としての立憲主義
――J・ウォルドロンの憲法理論に関する一考察
Ⅰ 盟友か、論敵か――ウォルドロンとサイドマン
Ⅱ 憲法理論の固有性と相対性
Ⅲ サイドマンの「憲法不服従論」とウォルドロンの批判
Ⅳ ウォルドロンの違憲審査制批判の特徴と問題意識
Ⅴ 「政治文化としての立憲主義」と憲法制度・憲法運用
結びに代えて
第Ⅱ部 基本的人権論への接近
第6章 近代人権論と現代人権論
――「人権の主体」という観点から
Ⅰ 人権論における「近代」と「現代」
Ⅱ 人権の国際化と現代人権論
Ⅲ 限定的人権論と拡張的人権論
Ⅳ 限定的人権論の制度的前提
結びに代えて
第7章 「憲法的思惟」と国際人権の間
――蟻川恒正『尊厳と身分』を読む
Ⅰ 憲法的思惟と「日本」という問題
Ⅱ 『尊厳と身分』の内容構成
Ⅲ 「尊厳と身分」論文を読む
Ⅳ 「違憲審査制批判者ウォルドロン」という問題意識の乏しさ
Ⅴ 「国際人権法の不在」という問題
Ⅵ まとめとお詫び
第8章 基本権の私人間効力論
――憲法・民法問題の観点から憲法学の課題