出版社内容情報
「公共性」の担い手は国家であり、国家がこれを独占するという見方が伝統的見解であった。だが、NGO等を典型として、より良い社会の構想をもって行われる活動は、国家が独占するものではない。本書は、各種の社会運動や非営利組織、自発的結社の活動を法社会学的に考察し、市民社会の公共的実践に法制度が果たしうる役割とそのメカニズム、見出される課題を明らかにする。こうした目的を見据えて、そもそも多義的概念である「市民社会」と「公共性」の分析を丁寧に行い(第Ⅰ部)、NGO等の実践と法・法学の分析(第Ⅱ部)、一段抽象化した理論的統合(第Ⅲ部)を行う。
目次
第1部 市民社会の公共性と法(市民社会の公共性と法;公共圏の形成をめぐる社会運動と訴訟;市民活動による社会形成と司法制度―応答的司法の展望;司法制度改革後の展開と課題;まちづくり条例と地域の公共性;(心理学化される現実)と社会の媒介的審級の回復―修復的司法を素材に
社会的関係形成と借家法―A・メルッチに示唆を受けて)
第2部 非営利・アソシエーションの法(市民セクターの発展と民間非営利法制;NPOの発展と新しい公共圏―その両義的展開をめぐって;非営利法の現状と課題―非営利法の体系化に向けた一つの素描;法学におけるNPO研究の展開;公益不認定処分と公益認定等委員会の法意識―日本尊厳死協会公益不認定事件をめぐって;(アソシエーション法)という視角)
第3部 現代社会の法化と市民社会(現代社会の法化―法化論の展開と課題;市民社会を基盤とする法の生成・変動―広中俊雄の法社会学研究;シンポジウム「市民社会と法社会学」によせて)
著者等紹介
佐藤岩夫[サトウイワオ]
1958年生まれ。東北大学法学部卒業。博士(法学)。現在、東京大学社会科学研究所教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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