内容説明
社会の多様性の実現=市民社会の利益のために存在するメディアに構築されるべき「メディアの内部的自由」、それは、決してメディア組織内部での「自由の山分け」であってはならない。その視点から「ジャーナリストの自由と自律」の問題を問い返す。故・石川明教授の先駆的研究を踏まえた上で、ドイツの編集綱領運動など欧州の動向を丹念にフォローしつつ、NHK番組改変問題を改めて総括し、危機に立つメディアの可能性を追求し、その課題を提起する。
目次
第1部 石川明先生の「内部的メディアの自由」研究(編集綱領運動と内部的放送の自由―西ドイツの場合(1972年)
コミュニケーション政策の形成と研究者―“プレス基本法”の立案過程を中心に(1977年)
放送の公共性と放送の自由―西ドイツの公共放送の場合(1989年)
ドイツにおける「内部的プレスの自由」―ブランデンブルク州のプレス法の立法過程を中心に(2000年)
市民社会とメディア企業―「編集権」をめぐって(2000年))
第2部 「内部的メディアの自由」研究の諸相―法学的観察/社会学的観察(「プレスの内部的自由」の研究回顧と期待;規律任務としての放送の独立性;「内部的メディアの自由」の可能性;ドイツの公共放送における内部的自由―現状と課題;フランスにおけるジャーナリストの精神的自由―「良心条項」を中心に;イギリスの新聞メディアにおける「行動規範」とジャーナリストの保護;ドイツにおける「内部的プレスの自由」、コミュニケーション政治、そして公共圏概念の拡張;「内部的メディアの自由」の社会学的検討―理論と現実の日独比較の視点から)
著者等紹介
花田達朗[ハナダタツロウ]
早稲田大学教育・総合科学学術院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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