出版社内容情報
江戸時代、財政難に苦しむ諸藩で改革を成功させたCFO(最高財務責任者)たちの軌跡を描く。
内容説明
地元産品の高付加価値・ブランド化、流通改革、リスケ交渉…批判にめげず、汚名をいとわず、巨額の累積債務を抱えた藩を救うために奔走するCFOたちの挑戦!彼らの言動をたどり、そのリーダーシップとマネジメントに学ぶ!
目次
序章 なぜ、江戸時代の武士社会は「改革」を必要としたのか
第1章 恩田木工・松代藩真田家―インセンティブの導入で収入増を実現した「前代未聞の賢人」
第2章 上杉鷹山・米沢藩上杉家―産業振興策で「輸出立国」をめざした江戸時代随一の敏腕経営者
第3章 山田方谷・備中松山藩板倉家―地元産品のブランド化と藩札の信用回復で借金一〇万両を完済したCFO
第4章 村田清風・長州藩毛利家―特産品の高付加価値化と商社事業で倒幕資金の捻出に成功
第5章 調所広郷・薩摩藩島津家―偽金づくり、搾取、密貿易…汚れ役に徹して巨額の負債と心中した男
著者等紹介
大矢野栄次[オオヤノエイジ]
1950年、愛媛県生まれ。1974年、中央大学経済学部卒業。1977年、中央大学大学院経済学研究科修士課程修了。1982年東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。佐賀大学経済学部講師、同大助教授を経て、1994年より久留米大学経済学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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bonbon99
7
財務を好転させるには、収入を増やすか経費を落とすか資産を運用によって増やす。この3点しかありません。江戸時代に出現した江戸時代の4人の財務大臣が藩の財政的なピンチに対して強い決意のもとに断行されたエピソードはどれも参考になりました。著書の論じる力量が良いのか、私との相性が良いのかスラスラとよめ心の中にすっと残るものでした。2018/02/20
Tomoya Sudoh
1
江戸時代、参勤交代や手伝い普請などで、諸藩は莫大な出費を余儀無くされていた。さらに、毎年のように発生していた自然災害や飢饉により、借金まみれになっていた。どのような施策で借金を減らしていったのかを、5人の経営再建者を手法を通じて描かれている。上杉鷹山のような経営改革の鏡となるような人物もいれば、薩摩藩の調所(ずしょ)広郷のような汚れ役を敢えて買ったような人物もいる。やり方こそ違えど、どの人物も強い思いと覚悟で実行していたことは間違いない。ただ、施策にしろ人物にしろ、もう少し深掘りしてもらいたかったかな。2018/02/17
kobaton
1
志!「お客様第一」「ムダの排除」を経営理念に掲げる企業は多いが、これは理念とか志といったものではなく、原理原則だ。最小の費用で最大の売上を上げるのは経営の原則、当たり前にやること、個々の経営者の考え方や目指す方向性ではない。それを実現するための個々の「礼節」。これこそが経営者の志だ...経済学の先生が書いた江戸時代に藩の財政を立て直した参謀たちの話。倹約に勤めること、税収を増やすこと。この二つは共通して取り組まれる。肝は、それを実行するためのリーダーの信念の中身、まさに志だ。マネジメントは時代を選ばない。2018/02/13
バム
0
『もし、今の会社を改革するなら』という視点で読んだ本。 結果… 見習うべき事はめちゃくちゃ多い。 もちろん時代も状況も全く違うが、姿勢や覚悟、根幹の考え方などなど、様々な面で勉強になった。2021/05/16
Kentaro
0
ダイジェスト版からの感想 1000兆円ともされる巨額の公的債務を抱える日本は、財政健全化に向けた施策が喫緊の課題であり民間企業においても、国際化を踏まえた財務戦略をいかに経営に取り込んでいくかが、生き残りのカギである。そのヒントが江戸時代に行われた藩政改革にあった。 上杉鷹山は藩財政の実情を公開し、財政再建に向け倹約に勤め、一方では将来の産業育成に向け、漆と桑などの植樹を行い、産業育成の芽を息吹かせ、輸出産業の礎を築き、専門家の指導のもと、成果につながるまでじっくり時間をかけ高品質な縮布生産を実現した。2018/03/07