出版社内容情報
元就、長慶、信玄、信長・・・。なぜ、彼らは混沌とした戦国乱世を生き抜くことができたのか。歴史小説の名手が、“彼ら”を“彼ら”たらしめた価値観に鋭く迫る。長年の研究成果を駆使し、独自の歴史解釈を大胆に展開。歴史・時代小説好きの知的好奇心を満足させる1冊。
内容説明
安部版「名将言行録」。戦国という、沸騰する時代に立ち向かっていった男たちの生き様を読み解く。
目次
グローバル化が戦国乱世を生んだ
調略の鬼―毛利元就
下克上の旗頭―三好長慶
戦う禅師―武田信玄
正義の求道者―上杉謙信
怒れる流通王―織田信長
しおらしきキングメーカー―細川藤孝
信義に生きる―前田利家
老いて逆境に臨む―島津義弘
日本一の出世頭―豊臣秀吉
士道を極めた男伊達―伊達政宗
死ぬことと見つけたり―藤堂高虎
知恵と情で天下を取る―徳川家康
著者等紹介
安部龍太郎[アベリュウタロウ]
1955年福岡県生まれ。東京都大田区立図書館に勤めながら執筆したデビュー作『血の日本史』は山本周五郎賞候補に挙げられた。以来、歴史小説の王道を歩み、新しい歴史観に基づく骨太の作風で多くのファンをもつ。2006年、『天馬、翔ける』で第11回中山義秀文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鬼山とんぼ
3
これは拾い物だった。安部龍太郎が高く評価される少し前、岩波の『名将言行録』に範を取った短編評論集だが、書かれた50歳の段階でほぼ現在に至るまでの作品群の骨組みになる知識や理解が完成されていたことが判る。つまり早い時期から独自の歴史着眼を磨き抜いてきたということで、作家・安部龍太郎を理解する上で必読の書と言えるし、既読・未読いずれに対してもより深い鑑賞を可能にする手引書とも言える。惜しいのは豊臣秀吉の項(恐らく先に書かれたのでは)だけは通り一遍の記述で全体の品格を落としている。文庫化の際には改稿を望みたい。2022/04/10