内容説明
ローマ、ルネッサンスと燦然たる文化を生んだ国の風土や暮しを見たい、と春夏秋冬の季節を日本と往き来した5年間のスケッチ帳。
目次
春
夏
秋
冬
西洋人を描いて
著者等紹介
堀文子[ホリフミコ]
1918年東京麹町に生まれる。旧女子美術専門学校(現・女子美術大学)日本画部卒業。日本画家として新制作協会、創画会等で活躍するかたわら、挿画、装幀なども手掛け、多摩美術大学教授を務める。神奈川県大磯に居を構え、長野県軽井沢にアトリエを持ち、イタリアのアレッツォでも創作活動、1992年には当地にて個展を開催。1995年から、アマゾンの熱帯雨林、マヤ・インカの遺跡などへスケッチ旅行。2000年には5000メートル級のヒマラヤ高地に幻の花ブルーポピーを尋ねる。近年は生命の根元を探究し、その微細な世界の創作を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nemuro
7
たまたまテレビで、著者にスポットを当てた番組を見て、93歳にして尚、創作意欲旺盛な姿に興味が湧いていたところ、図書館で本書を見付け借りました。「たった一人でぶどう畑やオリーヴの丘に座りスケッチにあけくれた私だけの貴重な時間を過す事の出来たこの五年間の自由」とのことですが、その自由さは、各作品からも伝わってきます。それにしても、「拝金主義に狂うバブル真只中の日本を嫌い、この国からの脱出を計った。七十を過ぎて、言葉を習う暇もなく未知の国への無謀な旅立ち」との潔さには頭が下がります。2011/10/09
じゃんけん
5
詩的文書に感銘、一人で生きる気高さ、強さを感じました。 70歳でこの感性はやはり芸術家だな~ P76心を落ち着け集中するには一人で考え、一人で怠け、自然と遊ぶ暮らしが一番である。私にとってしいんと引き締まった孤独の空間と時間はなによりの糧である。 P104まったく、この世のものとは思えない神々しい美の中に迷い込み、私はときのたつのも忘れて、氷の野をさまようのだった。 P126 桑の木だけと過ごした独りぼっちの素敵な正月であった。2024/10/12
ハメ・ドゥースト
0
2021.8.26名都美術館で堀文子に浸る。七十を過ぎ、言葉を習う暇なく未知の国イタリア・トスカーナへ無謀に旅立つ。この決意が、生涯の終わりの新たな人生の幕開けとなった。p.76人に心を遣い影響を受けやすい私が心を落ち着け集中するには、一人で考え、一人で怠け、自然と遊ぶ暮らしが一番だ。しいんと引き締まった孤独の空間と時間は何よりの糧だ。人はその孤独を案じてくれるが、寂しい故に寂しさに徹したい。一人旅は空威張りではない。刻々と失われていく心身のエネルギーの目減りを防ぐのは、自分自身の力でしかできないことだ。2021/08/28