出版社内容情報
菅義偉首相は2020年10月26日、国会での所信表明演説の中で、日本政府として初めて2050年までに二酸化炭素ネット排出量ゼロ(カーボンニュートラル)にするとの政策目標を表明しました。今年11月に英グラスゴーで開催されるCOP26(2020年度は開催されず延期)ではさらなるカーボンニュートラルの議論がなされると思われますが、この目標を実現するための経済政策の道筋は日本では明確にはなっていません。
日本経済研究センターは、人工知能(AI)やあらゆるモノがネットにつながるIoT、ビッグデータが広く深く普及した第4次産業革命後のデジタル経済を想定、2050年度に13年度 比8割削減した場合の経済構造や削減コストを試算しています。現状で想定できるデジタル経済へ全面的に移行すれば、エネルギー消費量は6割減少し、さらに1万円/㌧・CO2(t-CO2)の環境税(炭素税)を課税すれば8割削減は可能、との結果が得られています。1.5℃目標の達成には税率を2.1万円超にするほか、脱原発に移行するならば、CO2を地中埋設するCCS(CO2の回収・貯留)が必要になります。デジタル経済への移行が、生産性向上につながる経済改革だけでなく、結果的に温暖化ガス削減にも貢献し、排出量ゼロも可能性があるのです。
本書は、ここまで日本経済研究センターに蓄積されてきた地球環境問題の知見と長期予測の成果を活用してカーボンニュートラル実現のために必要な制度、政策と企業の選択を明らかにするもの。日経センターでは企業のDXなしにはカーボンニュートラル実現は不可能としており、本書は企業にとっても関心が持たれる分析となります。
内容説明
排出量ゼロへの挑戦は歴史的ビジネスチャンス。温暖化問題への対応は、世界の指導層の間では「待ったなし」と考えられています。米巨大IT企業は、サプライチェーン全体を脱炭素にしようとしています。脱炭素を目指さなければ彼らとビジネスができなくなります。本書は、DX(経済社会のデジタル化)を加速することで脱炭素を実現する変革のシナリオを描いています。デジタル経済への移行は、生産性向上につながるだけでなく、温室効果ガス削減にも貢献し、歴史的ビジネスチャンスにつながる可能性があるのです。
目次
序章 2050年―2つの選択
第1章 展望―「実質ゼロ」への道
第2章 構造―産業地図 様変わりも
第3章 戦略―エネルギー需給の現実と未来
第4章 制度―カーボンプライシング(CP)なくして脱炭素なし
第5章 変容―企業、消費者の役割が変わる
第6章 政策―地球環境で各種規制の統合を
第7章 協調―世界的協力の必要性と可能性
第8章 21世紀における生命と地球の安全保障
CN(カーボンニュートラル)キーワード
著者等紹介
小林光[コバヤシヒカル]
日本経済研究センター特任研究員。1973年慶應義塾大学経済学部卒、環境庁(現環境省)入庁、地球環境部環境保全対策課長(京都議定書交渉担当)、地球環境局長を経て2009年事務次官、11年慶應義塾大学教授、当センター特任研究員、15年東京大学教養学部客員教授(現職)、東京大学工学博士(都市計画)
岩田一政[イワタカズマサ]
日本経済研究センター理事長。1970年東京大学教養学部卒、経済企画庁(現内閣府)入庁、同庁経済研究所主任研究官などを経て91年東京大学教養学部教授、2001年内閣府政策統括官、03年日本銀行副総裁、08年内閣府経済社会総合研究所所長、10年日本経済研究センター代表理事・理事長、18年より中央環境審議会カーボンプライシングの活用に関する小委員会委員、19年から総務省AI経済検討会座長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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