出版社内容情報
■史上初の女性としてフォンデアライエンが欧州委員会委員長に就任、EUの体制が一新された。新生EUは、気候中立化および倫理的なデジタル化を政策の柱としつつ、国際秩序の再構築を掲げている。この背景には、トランプ政権下で自国第一主義を唱えてきた米国、あらゆる分野で台頭する中国、および独自路線を歩もうとしている隣国・英国への警戒心と国際社会での存在感低下に対する危機感がある。経済成長の鈍化や技術革新の停滞という深刻な現実を直視した上、EUはグローバルなルールメイカーとして復権を図ろうとしている。
■EUが対外的な発信力や説得力を強めるためには、看板政策を野心的かつ確実に遂行していくと同時に、ユーロ危機の原因となった構造的脆弱性を克服するべく、域内の統合深化(銀行同盟・資本市場同盟の完成等)を進めていくことが前提となる。本書では、EUの政策課題を攻守両面から幅広く取り上げ、それらの連関性を明らかにすることで、読者に欧州の状況および目指している方向性に関する全体像を提示する。
■本書ではSDGs、ESG政策などで先陣をきりリアルビジネスへの影響が注目されるEUの経済政策動向を紹介する。著者はEUの拠点ベルギー・ブラッセルの調査拠点に4年間滞在。新しく、正確で体系だった情報を提示する。
内容説明
サステナブルファイナンス、デジタル政策、EMU完成、コロナ対応、Brexit―不断の統合深化と国際的プレゼンス向上の実相を描く。
目次
第1部 新生EU態勢の発足(フォン=デア=ライエン欧州委発足前夜;欧州議会選挙とフォン=デア=ライエン欧州委発足;EUの意思決定メカニズム;新生EUの優先的政策課題)
第2部 EUの統合深化(EMUの完成;Brexit;ユーロ圏の拡大)
第3部 国際的プレゼンスの向上策(グリーンディール;デジタル化対応;ユーロの国際的役割強化)
第4部 コロナ危機とEU(EUのコロナ危機対応;コロナ危機後に向けて)
著者等紹介
金子寿太郎[カネコジュタロウ]
(一財)国際貿易投資研究所客員研究員(兼職)。1997年早稲田大学法学部卒。同年より公的金融機関に勤務。2016年7月から2020年6月まで、(公財)国際金融情報センターブラッセル事務所長を務めた。2度の欧州駐在中に、共通通貨ユーロの導入、英国のEU離脱、グリーンディール、コロナ危機対応等に接し、分析・調査を続ける。また、官庁への出向等を通じて、金融にかかる国際基準設定にも関与。欧州、中東およびアジアの金融システムなどに関する著作多数。日本EU学会、日本金融学会等所属。早稲田大学法学士、独ケルン大学法学修士、早稲田大学学術博士(国際関係学専攻)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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- 和書
- 『歴史研究』総目・索引