出版社内容情報
●巨大な政府資金は自由主義のコストだ
新型コロナウイルスの蔓延は、世界の風景を一変させた。街からは人が消え、経済は急激に冷え込んだ。各国は巨大な財政支出でこれを再び浮揚させようと四苦八苦している。
現在の自由主義は、19世紀に確立した。フランスや米国は血と汗と涙で自由を獲得し、株式会社制度・中央銀行制度が確立したのもこのころだ。自由主義の発展で中間層の生活水準は押し上げられ、度重なる不況も政府資金によって乗り越えることができたことで、自由主義は最高のシステムとして認識されてきた。
ただ、今回の不況期では、巨額な財政支出が見込まれ、自由主義の存亡が問われている。本書は、10年先の国家・企業・通貨の関係を展望することがテーマになる。
内容説明
眼の前にあるものは予兆に過ぎないのか―多角的視点からコロナ後の世界を描く!
目次
第1章 コロナに震えた世界
第2章 検査、検査、検査だ
第3章 接触追跡システムの光と影
第4章 金融政策ノーリターン?
第5章 消費税を拡張付加価値税へ
第6章 デジタルは夢か悪夢か
第7章 グローバリズムは変わるのだろうか
著者等紹介
岩村充[イワムラミツル]
1950年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業。日本銀行勤務を経て1998年より早稲田大学教授。早稲田大学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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紫の煙
8
出版が2020年8月なので、コロナ感染を振り返ることが出来た。経済政策と税制の部分は難しかった。ただ、格差拡大と中間層崩壊の予測は当たっている。感染症対策のブロックによる世界分裂は避けなければならない。2020/12/30
Go xyz
4
特に繁忙を極めた時期に読んだこともあり、心に来るものは少なかった。タイトルにあるコロナ後の資本主義の世界についての内容を期待していたのだが、接触追跡システムの事を論じたかと思えば、消費税等に軽する提案など展開が突発的であること、また事実と提案が混在しており、私には少し合わなかった。少し頭を整理して読めばまた違うのかもしれない。2023/03/02
ichigomonogatari
4
大規模出動のツケは中間層に来るのだなあ。拡張付加価値税、賛成。デジタルプラットフォームがこれからもどんどん使われるようになれば、会社の形が、ひいては国家の形が変わるきっかけになるかもしれないが、当面はグローバリズムはより露骨な収奪をするだろうと。ブロックチェーン技術も、税制改革についても、私には専門的すぎて悲しいかな全く理解できなかった!2020/11/14
chiro
3
コロナによって明らかになった事はいくつかあるが、グローバリズムが形を変えて行かざるを得ない状況が露呈した事は大きいと思う。そうした中で資本主義がどう変遷していくのか?またこの変化によって我が国が抱えている様々な問題をどう解決していくのか?という視点で提示されている施策は深い考察に基づいてなされており、とても示唆に富んでいる。特に拡張付加価値税の考え方は大きく納得させられるものであった。2022/04/26
わたなべたけし
3
色々と感じる点が多かったが、とある物事が発生した時に、どのような影響があるのか? 通常思いつく領域だけではなく、その更に外側の領域にまで思いを巡らし、 先手管理をする重要性を感じた内容。 想定される未来がいつ来るのか? それは誰にも分らないが、こうしたコロナのような大きなインパクトのある事態があった際に、 一気に進む(現実に近づく)ことも今回誰もが理解できた点。 いつそうなっても良いように準備すること、また想定してうごくこと、この重要性がよく理解できた。2021/10/09