出版社内容情報
●開発経済学のベストテキストを全面改訂
今年のノーベル経済学賞は、行動経済学を経済開発に応用した研究でした。残された国々の浮上はなぜ困難なのか。それは誤った戦略がとられているからです。適切な政策さえとれば、貧困国も浮上可能なのです。貧しい国から貧困をなくしていく戦略的学問、それが本来の開発経済学の目的。本書は、経済学は知らないけれども貧しい国を浮上させる術について知りたい人びとのための書です。
筆者は農業と製造業の双方について、アジアとアフリカで現地調査型の研究を重ねてきました。また、世界銀行に出向した時期は、開発戦略という視点から各国への資金援助を詳細に分析しました。筆者が研究対象としたのは、中国、台湾、ベトナム、フィリピン、タイ、インドネシア、インド、ネパール、スリランカ、ガーナ、エチオピア、ケニア、ウガンダ、マラウィ。また、農業や産業の発展ばかりでなく、環境問題、国家の役割、ジェンダーについても関心を払ってきました。カバーする地域も分野も内外の研究者でこのレベルに達している開発経済学者はほとんどいません。
本書は、2015年に刊行された『なぜ貧しい国はなくならないのか』を最新のデータに基づいて全面改訂したものです。前作は教科書で記述されている理論を自ら検証した上での入門書であり、強い説得力が高く評価されました。その意味で、本書は定説をまんべんなく解説した通常の教科書や入門書とは異なります。
筆者は、日経・経済図書文化賞を2度受賞し、シカゴ大学でシュルツ(唯一のノーベル経済学賞受賞農業経済学者)、フリードマンから直接教えを受けた世界的な開発経済学者。2018年には学士院会員となり内外から高く評価されています。
内容説明
SDGs(持続可能な開発目標)への注目が高まっているが、貧しい国々の浮上はなぜ困難なのか。それは誤った戦略がとられているからだ。貧しい国を浮上させる術について知りたいあらゆる人びとのための入門書。貧困国浮上の開発戦略をていねいに解説したテキストを最新データに基づいて全面改訂。
目次
第1部 何が問題なのか?(開発経済学とは何か?;貧困は減っているか?;なぜ貧困を撲滅できないのか?)
第2部 何が起こっているのか?(飢餓は是が非でも避けたい;東アジアから何を学ぶか?)
第3部 してはいけないこと、しなくてはいけないこと(途上国がしてはいけないこと;途上国が「豊か」になるためにすべきこと;世界がもっと真剣に取り組むべきこと)
著者等紹介
大塚啓二郎[オオツカケイジロウ]
神戸大学特命教授・ジェトロ・アジア経済研究所上席主任調査研究員。1948年生まれ。71年北海道大学農学部農業経済学科卒業、74年東京都立大学大学院修士課程修了、79年シカゴ大学大学院博士課程修了、同年イェール大学ポストドクトラルフェロー、91年東京都立大学教授、2001年政策研究大学院大学教授、2016年から現職。この間、国際稲研究所理事長、国際農業経済学会会長、世界銀行『世界開発報告2013』編集委員、開発経済学会会長を歴任。2010年紫綬褒章、18年日本学士院会員。国際、アメリカ、アフリカの各農業経済学会名誉会員。主な著書に『中国のミクロ経済改革』(共著、日本経済新聞社、日経・経済図書文化賞受賞)『産業発展のルーツと戦略』(共著、知泉書館、日経・経済図書文化賞受賞)『教育と経済発展』(共編著、東洋経済新報社、NIRA大来政策研究賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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