出版社内容情報
前イングランド銀行総裁が、貨幣、銀行の本質を追究、再来が懸念される金融危機への処方箋を、強い警告を込めて描いた話題作。
内容説明
このままでは、金融危機の再来は防げない!前イングランド銀行総裁が放つ、現代経済学への痛烈な批判。現代の貨幣・銀行システムの欠陥を豊かな歴史的洞察をもとに追究。巨大な危機の発生を回避する処方箋を強い警告を込めて示した話題作。
目次
第1章 良い帰結、悪い帰結、危険な帰結
第2章 善と悪―われわれは貨幣を信じる
第3章 失われた健全さ―錬金術と銀行業
第4章 根源的な不確実性―金融市場が存在する意味
第5章 英雄と悪漢―中央銀行の役割
第6章 結婚と離婚―貨幣と国家
第7章 健全さを取り戻す―貨幣と銀行の改革
第8章 修復と傲慢―世界経済の現在地点
第9章 大胆な悲観主義―囚人のジレンマと迫りくる危機
著者等紹介
キング,マーヴィン[キング,マーヴィン] [King,Mervyn]
前イングランド銀行総裁(2003年~2013年)。2013年ロスベリーのキング男爵に、2014年ガーター勲爵士に叙せられる。英貴族院議員。英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスおよび米ニューヨーク大学の教授を務める
遠藤真美[エンドウマサミ]
翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mc6ρ助
3
部分部分は理解できていると思うのだが、全体を把握できているとは言い難い。『リスクとは、将来起りうる結果がどのような性質を持つものであるかを厳密に定義できて、過去の経験をもとにその事象が発生する確率を与えられる事象をいう。・・・ひるがえって不確実性は、将来どのような結果が起こりうるかをすべて定義するのはもちろん、想像することさえできず、したがって発生確率を与えられない事象をいう。 (p156〜8)』経済危機が不可避な不確実性に起因するのならば著者のように楽観的に先行きをとらえることもなかなかに敷居が高い。2017/09/26
田中太郎
1
名著。貨幣、銀行システム、金融財政政策、マクロ経済的な国家間のバランスをすべて統合して議論している。しかもそれを、数式を使わずわかりやすく説明している。根源的な指摘は、主流派経済学はリスク要因の発生確率分布が計測できることを前提にしているが、それでは現実を説明できないこと。経済には予測できない不確実性が存在するため、計測可能なリスクに基づく合理的行動という仮定は成り立たない。例えば、マイナス金利を深掘りしても、人々が不確実な悪い将来を期待すると、消費は刺激されない。内容が広範すぎてメモし切れない。2020/09/07
まめタンク
1
2020年239冊目。2020/08/24
hidek
1
本書では不均衡・不確実性・囚人のジレンマ・信頼の4つを軸に世界経済の現状を説明している。安い労働力を背景とした中国などでの貿易黒字拡大。それが期待収益の高い途上国で使われず、先進国の長期金利を押し下げ、不動産など資産価格を引き上げる状況が続く。それが国家間、資産を既に持った高齢者と若者の間の不均衡に拍車をかける。また、金融危機を経験し将来の所得成長期待も萎縮している。この問題への対処は更なる緩和では無く、不均衡の解消だ。それには囚人のジレンマを避けるため各国が協調して、その解消に取り組む必要がある。2017/09/30
Mikatas
0
金融機関の過小資本に着目する論調。内容はよくまとまり、過激すぎない論調でいい感じ。だがしかし、この手の本は10冊くらい読んで食傷気味なので、途中で投げた。 ROE的な観点もあるので金法は増資を嫌うけど、金融危機再発防止のためにも(事業会社的な計数法での)自己資本比率を上げる気になってくれるといいのだけど。2017/12/20