内容説明
市場を縛ることが、日本に閉塞感を生み出している!世界金融危機、格差から医者不足、教育問題まで、気鋭の経済学者が日本社会の病巣を縦横無尽に解明。
目次
第1部 市場を考える(人はひとりでは生きられない;きつねの手ぶくろ;市場と格差;市場の条件 ほか)
第2部 複眼思考で現実を読む(社会の「規範」、分析対象に―経済現象に直結;「倫理性」の衰退と国家介入―本質見極める頭と心;教育再生に市場原理の波―「素人主義」に疑問の声;市場重視の経済学を問う―法律・慣習とも連携 ほか)
著者等紹介
松井彰彦[マツイアキヒコ]
東京大学大学院経済学研究科教授。1962年生まれ、85年東京大学経済学部卒業、90年ノースウェスタン大学MEDSでPh.D.取得、同年ペンシルベニア大学経済学部助教授、94年筑波大学社会工学系助教授、98年東京大学大学院経済学研究科助教授、2002年より現職。エコノメトリック・ソサエティ・フェロー(終身特別会員)、現在同理事。学術振興会賞、日本学士院学術奨励賞、日本経済学会中原賞受賞。主な著書に『慣習と規範の経済学―ゲーム理論からのメッセージ』(日経・経済図書文化賞受賞、東洋経済新報社)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
14
この著者のものは非常に比喩がうまく納得性をもった論理を展開してくれます。何年か前には女の子を主人公にした市場の理論を説明してくれ、今回はほんのちょっとですが、童話や小説などを用いて説明してくれています。日経新聞に掲載されたものが中心ですが、私にはちょうどいいレベルの経済書だと感じました。2014/06/16
メルセ・ひすい
3
15-70 T.11/03 日経新聞「経済論壇」‘07.04~まとめたもの。。今年の四月中旬、大震災の県立相馬高校の生徒42人を東大経院に招待して気分転換勉学のすすめ企画した。感想文あり… 日本経済どこがおかしくなっているのか。ゲーム理論の眼鏡をかければ、意外に不自由な日本経済の知られざる論点・解決策が見えてくる。市場の役割から実際の経済問題まで、ゲーム理論の第一人者が軽快に解説する。2011/10/14
かずぴー
2
皆が出来ると思えば実際に出来る。これは精神論ではない。2014/06/05
Masakazu Nakamura
2
日経新聞の連載だったのだろうか。 テーマがとびとびに感じることもあったが、 ちゃんと経済学の視点でちゃんと現実の経済に目を向けている本だった。 経済学そのものを学ぶ本としてはちょっと厳しいけど、社会で実際に起きている問題を解決するために経済学の考え方が決して無意味ではないことを示してくれる。2011/08/29
考える犬。
1
今年の夏に読んだ本No.1かなあーって思ってます。ゲーム理論の詳細というよりも今の日本経済に足りない視点を教えてくれる内容の良書。特に第1部は経済学部を志す高校生にも読んでほしいなあ、と。市場と聞くと、市場原理主義のイメージで資本主義の権化、弱者の敵みたいな言説が定着してますが、そうじゃないと筆者は言います。市場こそが人と人のつながりを保たせてくれるものなんだという力強いメッセージが伝わってきます。2011/08/19