出版社内容情報
インドの中間層は急速に増加しており、都市部を中心に、自動車、医薬品、家電、情報通信などの製品やサービスの消費が拡大しています。一方で、人口の約7割、9億人以上は未だ農村に暮らしており、行政サービスや民間企業の活動から「取り残された」農村にこそ、実は隠れたビジネスチャンスが眠っています。インドの農村は、これまで貧困などの後進性が強調されてきましたが、その困難な環境に挑み、住民の生活に直接役立つビジネスの成功事例が相次いでいます。ビジネスの実践と持続的な開発が直結し、国民全体の底上げを図るSDGs思考の成長へと転換が始まっているのです。
インド最大の携帯電話会社リライアンス・ジオがグーグルやフェイスブックなどから2兆3000億円もの資金を集めることができたのも、同社が5Gネットワークを使って大企業としては初めて農村と零細商店、都市消費者をつなぐ革新的なビジネスモデルの構築に着手したからです。大手民間企業に加え、農村が抱える社会課題に焦点を当てた社会的企業やNPOが、創意工夫を凝らして持続的なビジネスの実現に挑んでいます。
インドの農村ビジネスは、もちろん日本企業にもチャンスがあります。ここ10年ぐらいで、日本企業は文具や日用品、食品、アパレル、コンビニ、外食産業といった生活密着型の分野にシフトしつつあります。現在のモディ政権が力を入れる社会のデジタル化が進む中、農村は、あらゆる企業が進出機会をうかがう未開拓地となっています。もちろん、インドの地方部ではインフラやガバナンスなどの問題は避けて通れません。それを乗り越えるのが情報通信技術であり、革新的なビジネスモデルです。
本書では、インドの開発状況を踏まえながら、これまで日本では伝えられてこなかった農村ビジネスの実態やラストワンマイルの克服方法、また、困難を乗り越えた起業家らの活動を現地インタビューや写真で鮮やかに伝えます。登場するのは主に営利追求型の社会的企業ですが、社名を含む具体的な事例を示すことで、インド進出を目指す中小も含めた日本企業にとって、SDGs達成にも貢献する新たなビジネス構築に大きなヒントを与えるものです。
内容説明
インドの成長力が脚光を浴びているが、人口の約7割、9億人以上は未だ農村に暮らしており、行政サービスや民間企業の活動から取り残されている。この取り残された農村にこそビジネスチャンスが眠っている。大手民間企業に加え、農村が抱える社会課題に焦点を当てた社会的企業やNPOが、創意工夫を凝らして持続的なビジネスの実現に挑んでいる。本書は、これまで日本では伝えられてこなかった農村ビジネスの実態やラストワンマイルの克服方法、また、困難を乗り越えた起業家らの活動をインタビューや写真で活写。インド進出を目指す中小も含めた日本企業にとって、SDGs達成にも貢献する新たなビジネス構築に大きなヒントを与える。
目次
第1章 社会イノベーション大国(国際的に注目を浴びるイノベーション力;農家の生活を変えた「白い革命」 ほか)
第2章 インドの開発状況と「インパクト企業」の台頭(SDGs達成の鍵を握る主役国;世界最大級の「社会課題大国」 ほか)
第3章 ラストマイルの奮闘(安全な水までの距離―村にできた水のATM;野外排泄の国―世界最大のトイレ普及計画 ほか)
第4章 改めて知るインドの光景(モディ政権の方針と3R;インフォーマル雇用と社会保障 ほか)
第5章 SDGsビジネスの主流化(アマルティア・センの国;ラストマイルの開発―「後発県の変革プログラム」 ほか)
著者等紹介
松本勝男[マツモトカツオ]
1966年茨城県生まれ。海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)にて、東南アジア地域や南アジア地域等の開発援助業務に従事。2018年から21年までJICAインド事務所長。他にタイとマレーシアに駐在経験あり。現在、JICAインフラ技術業務部長。本業のかたわら、ブータンやネパールなどで障害者の就労支援活動に携わる。一橋大学法学部卒、米国コロンビア大学国際公共政策学修士、東京大学大学院工学系研究科先端学際工学博士課程修了、博士(学術)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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