出版社内容情報
筆者の韓国のこれからの読み筋は以下の通り、
●地政学リスク 分断国家である以上、保守派(親米)VS進歩派(革新派、親北朝鮮・親中国)の葛藤は避けられない。南北分断の原因を1910年の日韓併合にみる韓国人は多く、「反日」と理念対立は結びついている。さらに半島という地政学は、大陸国家(中国・ロシア・北朝鮮)と海洋国家(米国・日本)を両にらみしなければいけない。核・ミサイル開発に突き進む北朝鮮と対峙しつつ、頼みの周辺大国との関係もぎくしゃくしがちな韓国は当面、不安定な状況が続く。
●政治安定 保守政党と革新政党が理念を乗り越えて連立政権をつくれるかがカギを握る。ソウル中心部での右派と左派の激突は過激派団体が中心。韓国では最近、理念対立&地域対立に風穴が空き、代わりに世代間対立が強まっている。
一方で、政治家が主張する経済・福祉政策や財閥改革などには与野党の違いがほとんどない。雇用難や賃金格差などに苦しむ若者への対応を優先すれば政党の協力による政治の安定が実現する可能性がある。
●不安定経済に打つ手 財閥中心の輸出主導経済の限界、技術力のない中小企業・ベンチャーの育成、学歴偏重・大企業志向是正の教育改革、強すぎる労働組合改革などなど韓国が抱える課題は尽きない。
一方で、一つ一つをいじっても弥縫策にすぎない。韓国政治、経済、社会全体の構造改革が不可欠。その土台として「政経癒着」に代表される韓国が成長のために目をつむってきた不正・腐敗社会を公正な社会にリモデリングする必要がある。
●日韓関係 日本で韓国との慰安婦合意をまとめたのは右派の安倍政権、北朝鮮の独裁政権と初の日朝首脳会談を実現したのも小泉政権だった。安倍政権が2021年まで続く可能性が出てきたなかで、安倍と韓国左派政権は日韓の歴史論争に終止符を打つには実は悪いコンビではない。
内容説明
大統領と財閥企業による「政経癒着」、世襲による格差の固定、超競争社会と教育問題、世代間対立―。どれも韓国社会に深く根ざした問題ばかりだ。日本経済新聞ソウル支局長が、韓国の構造問題を、朴大統領弾劾の端緒から新政権始動までのドキュメントも交えて解明する最新レポート。
目次
第1章 最高指導者の呪縛―大統領スキャンダルの闇(強すぎて脆い韓国大統領;弱い政府、最上位は「国民情緒法」)
第2章 財閥叩きのジレンマ―「政経癒着」の深層(病める構造「財閥頼み」;深刻な韓国経済)
第3章 社会を支配するモンスター―韓国の「民心」たち(路上デモは終わらない・住みにくいソウル;在野のプレーヤーたち)
第4章 「民心」争奪戦―「ポスト朴」の素顔(ポピュリズム人気;「中道」の挑戦;北朝鮮も政争のネタに)
第5章 韓国の憂鬱な明日を読む(悲しき地政学リスク;政治安定を取り戻す術;不安定経済に打つ手は;日韓関係リセットはあり得るのか)
著者等紹介
峯岸博[ミネギシヒロシ]
日本経済新聞ソウル支局長。1992年日本経済新聞社に入社、政治部、経済部、ソウル支局、政治部キャップ、政治部デスクなどを経て、2015年より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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しろくまZ
mm71
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