出版社内容情報
令和の企業経営に必要なのは倫理観と組織の一体感。土光敏夫はそのお手本となる経営者だ。戦略を熟知した研究者による決定版評伝登場
内容説明
石川島播磨(現IHI)、東芝の再建に挑み、ついには日本の行政の立て直しまで任された土光敏夫。きらびやかな経歴とは対照的な修行僧にも似たその背中に、多くの人は畏敬の念すらもつ。難題を次々とこなし、最後の再建仕事の臨調会長として国民的英雄にまでなった彼から、令和の経営者は何を学ぶべきか。マネジメントを熟知した戦略研究者が明らかにする稀代の経済人の軌跡。
目次
序章 再建の連続という人生
第1章 人間タービンの誕生
第2章 しょっぴかれるように、本社社長に
第3章 大型経営者の登場
第4章 東芝再建への苦闘
第5章 メザシの土光さん
第6章 母の教え
第7章 現場の達人、凛とした背中
終章 日に新たに、日々に新たなり
著者等紹介
伊丹敬之[イタミヒロユキ]
国際大学学長、一橋大学名誉教授。1969年一橋大学大学院商学研究科修士課程修了、72年カーネギーメロン大学経営大学院博士課程修了(Ph.D.)、その後一橋大学商学部で教鞭をとり、85年教授。東京理科大学大学院イノベーション研究科教授を経て、2017年9月より現職。この間スタンフォード大学客員准教授等を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あすなろ
56
80歳を過ぎて国鉄解体等の財政改革を行い、田中角栄や三木武夫に物申した土光さんとは何者か?正直、我が国の経済・経営史を語るには土光氏は避けて通れない。そんな長年の疑問から手に取り読了。現場の達人で人間タービンと呼ばれ、無類の読書好きで宴席は出ない。石川島播磨・東芝各社長、そして政界へと異分野へと突出したのは望んだことではない。持った運もあるだろう。しかし乍ら、常に受身で異分野を恐れない、太い線を示し脇道に逸れなく凛とした背中を見せる。こうした芯と読書体験の裏打ちがこうした人物像を産んだのではないかと学んだ2019/09/17
てつのすけ
31
恥ずかしながら、土光さんについては、土光臨調と呼ばれているものしか知らなかった。本書を読み、経営者としてというより、人間として、とても奥が深く人間味のある方だったと感じた。この土光さんでも建て直しができなかった「東芝」については、他に立て直すことができる経営者はいないような気がする。また、本気で日本を立て直す意思を持った者がいない現状では、今後の日本の行方に憂いを感じざるを得ない。2019/10/26
西
21
「めざしの土光さん」は何となく子供の頃に聞いた記憶があるけど、初めてその生涯を読んだ。結局、トップに求められるのは人間力だなあと改めて思う。いくら頭が良くても尊敬されないような人ではトップは務まらない。背中で見せるのと、言葉を尽くすことが必要で、それはいつの時代でもそうなんだろうと思う。本書の内容的には、もう少し深く掘り下げてほしいなと思ったのが正直なところ。時代が過ぎていくとなかなか難しいのかな2020/04/12
大先生
11
①石川島重工、②東芝、③日本政府の行政組織という3つの組織の再建に取り組んだ「メザシの土光さん」こと「土光敏夫」氏の評伝です。「個人は質素に、社会は豊かに」という母の教えを忠実に守って清貧を貫ぬき、行政改革のカリスマとなった人物。まるで修行僧です。もっとも、現場の達人で人情味あふれる言動をする一方で、「怒号さん」というあだ名をつけられるくらいパワハラ気質な面も…。本人は「俺は怒っていない。地声が大きいのだ」と主張していたそうですが…。物事を成し遂げる人はそれくらいエネルギッシュということですかね(汗)2022/08/02
yuki
2
土光敏夫の経歴はほぼ知らなかったが、凄い経営者であることが分かった。自分の信念に基づき、ひたすらに努力を継続すれば、能力に関わらずに自分の求めるゴールにたどり着けることの実例なのだろう。2021/03/20