出版社内容情報
人間を惹きつけるものは、論理やイデオロギーではない。それは人間的魅力である。たとえ大悪党であっても魅力があれば多くの人がついていくし、反対にどんな善人でも魅力がなければついていかない。このいわく言い難い人間的魅力とは何かを追究した名著。
内容説明
人間を惹きつけるものは、論理やイデオロギーではない。それは人間的魅力である。たとえ大悪党であっても魅力があれば多くの人がついていくし、反対にどんな善人でも魅力がなければついていかない。このいわく言い難い人間的魅力とは何かを追究した名著。
目次
序 人間的魅力とは(友を選ばば…性格・気質を第一に;好きも嫌いも、ただ「相性」ゆえ)
1 深沈厚重の魅力(いわく言い難し、良寛の慈愛;刺客をも包みこむ西郷のふところ;「死を思う」難しさは生き様の難しさ ほか)
2 磊落豪雄の魅力(男の力とつらさを知る「磊落豪雄」;徳を積む者に不可欠「恥じ入る思い」;逆境知るが故に地位・財産求めず ほか)
3 聡明才弁の魅力(軽薄に流れやすい「聡明才弁」;「日々これ真剣勝負」魏の曹操の魅力;魏と蜀の明暗分けた後継者選び ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
5 よういち
88
たとえ悪党でも魅力があれば人はついていく。善人でも魅力がなければ人はついていかない。◆呂新吾は人の魅力を『深沈厚重』『磊落豪勇』『聡明弁才』に分類。◆①深沈厚重:無我の愛で人を幸せに。民衆を幸せにする人。②磊落豪勇:細事に拘らず、明るく仕事をこなし、面白い人。➂聡明弁才:弁舌爽やかなやり手。才能に任せて突っ走るため、他者からは鼻につく。◆諸葛孔明の人物鑑定基準:善悪の判断の志。言葉でやりこめたときの態度。計略の知識。困難に立ち向かう勇気。酒で酔わせ本質を。利益で釣って清廉潔白の加減。仕事の信頼度。2019/12/18
colocolokenta
26
自己啓発本のようなつもりで手にとったのだが、読んでみたらまったく違った。昭和の大実業家、中国、西洋の歴史上の偉人たちを取り上げ、彼らに見る人間的魅力を語っている。名前だけしか知らないような半ば歴史的実業人の生き方、考え方に触れることができた。惜しむらくは、登場人物のほとんどが男性であるということ。これからの世の中、男性史観ではやっていくことはできない。性差が社会的役割とどう関係するかはわからないが、色々な意味で、“人間的魅力”はこの先、急速に変化していくに違いない。色々な意味で良書といえます。2015/10/27
とみやん📖
6
城山三郎との対談、「サラリーマンの一生」で、初めて、伊藤肇氏を知った。漢文の素養が少なすぎて、スラスラと読むことは難しかった。また、エッセイをまとめた本であるためか、話があちこちに飛ぶのと、例題として出てくる人が灰汁の強い人が多いのとで、評価の分かれる本だと思う。もっとも、冒頭好き嫌いは性格によることを力説しているので、きっと氏は灰汁の強い人物を好んだのであろう。消化不良のためそのうち再読したい。それと、十八史略は読みたい。2016/12/31
Mitz
6
深沈厚重、磊落豪雄、聡明才弁…。この著では、「人間的魅力とは果たして何か?」という問いの答えを、古今東西の人物の言動に求めている。取り上げられるエピソードの内容と、その取り上げ方に、著者自身の魅力も溢れている。この著が、長く経営者などに好まれてきた所以であろう。この本を読んでいて、「独りともし火のもとに文を広げて、見ぬ世の人を友とするぞ、こよなう慰むわざなる」という徒然草の一節を思い出した。自分も折に触れて、本を読みながら歴史上の人物の範となる言動に接し、心の中で語らい、前向きなエネルギーを得ようと思う。2014/12/07
るい
3
日本と世界の歴史上の人物と実業家の多岐に渡る膨大な逸話に驚く。一番心にしみたのは、桐野利秋が西郷隆盛に入門を乞うた時の話である。魅力とは「呻吟語」によると、深沈厚重、磊落豪雄、聡明才弁のことを言うらしい。この本を何度も読みたいし、この本に出てくる人物の本も読んでみたい。2013/05/13