内容説明
信玄・謙信のような軍略の才も、信長の突破力も、秀吉の人間的魅力も持ち合わせていない戦国大名が、なぜ天下人という高き嶺の頂に辿りつけたのか。没後400年の年に、渾身の筆で世に問うた遺作!
著者等紹介
火坂雅志[ヒサカマサシ]
1956年新潟県生まれ。早稲田大学卒業後、出版社勤務を経て、88年『花月秘拳行』で作家デビュー。2007年『天地人』で中山義秀文学賞を受賞し、同作は09年のNHK大河ドラマの原作となった。15年、58歳で逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雪月花
51
日本経済新聞に連載されていた頃に時々読みながらも全部読み切れていなかったので、大河ドラマ「どうする家康」が始まったのをきっかけに、きちんと読むことにした。苦悩と忍耐の半生が綴られる上巻は、今川の駿河と織田の尾張に挟まれながら、一向一揆、姉川の戦い、三方ヶ原の戦い、長篠の戦いなど次々と板挟み的危機状態に追い込まれ波乱万丈。教科書ではわからなかった家康像がとても人間らしく、信長や秀吉よりも共感の持てるキャラクターのように思える。やはり強運の持ち主だったとわかるのは人生後半か。下巻も楽しみ。2023/02/21
starbro
40
昨年から今年にかけて愛読している作家が、かなり亡くなられています。火坂雅志は高校の先輩でもあり、50代の若さということもあり、非常に残念でなりません。心よりご冥福申し上げます。直木賞を受賞していないせいか、「天地人」ブームが去ったせいかわかりませんが、死亡のニュースの取り上げ方が大変地味だったのは、大変遺憾です。「天下(てんが) 家康伝」は、テーマ、ボリューム共に堂々の遺作です。トータルの感想は下巻にて。2015/05/25
いつでも母さん
34
丸々一日かかり上巻読了。火坂作品3作目だが巧い!派手さはないがシックリ来る(かなりの上から目線・・)この頃の戦国物がやはり面白いなぁ。既に刷り込まれ済みの私の『家康』像とは少し異なり好感度UP(笑)この巻では凄い忍耐力と、遅い決断力の印象だが、下巻が楽しみ。それにしても、火坂作家の急逝はビックリしたなぁ。早過ぎるでしょう・・2015/05/26
星落秋風五丈原
28
家康が今川義元の死によってやっと独立してからその息子信康が武田方の間者に取りこまれるまで。火坂作品といえば登場する肉感的なオネエサン、はい、今回も登場します。武田信玄、織田信長、自分の先を行く戦国の英傑達を素直に「凄いな」と憧れている家康がとこかで変貌するスイッチは下巻に。2015/05/25
onasu
24
家康が隠居してもなお、夢でうなされることがあるという、三河での一向一揆から。 駿府より三河に戻り、地歩を固める辺りは、あまり読んだ覚えがなく新鮮。その一揆方につき姿をくらました本多正信を朝倉攻めの退却の折に登場させたのは上手い。 三方原の戦いも、前哨戦で遠州や三河の小城を落とし、家康を浜松からおびき出した信玄公の戦上手ぶりにうならされる。 一方、女の間者を組ませるのは妙案だが、今のところインパクト些少。 上巻は、築山殿に怪しげな者が取り入るまで。光るヶ所はあるものの、総じては…。下巻は如何に。2015/07/06
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