内容説明
一九八一年、大隈銅像のある大学。奇妙な犬の世話に疲れ果てたぼくは、ある哲学サークルに救いをもとめて入会する。当初は無我夢中となるが、その活動形態に、やがて根本的な疑念を抱き始める。「正しさ」の呪縛から逃れるために、雑踏に身をさらし、最後に、ぼくが、見たものとは…。まったく新しいシューキョー小説、世のスピリチュアルブームに一石を投じる渾身の意欲作。
著者等紹介
三輪太郎[ミワタロウ]
1962年、名古屋市生まれ。早稲田大学卒業。90年、「『豊饒の海』あるいは夢の折り返し点」で、群像新人文学賞(評論部門)受賞(本名で)。2006年、小説第一作『ポル・ポトの掌』で、第1回日経小説大賞佳作(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かなりん
2
新興宗教に入信した学生の話。「あなたにとって幸福とはなんですか?」哲学にかぶれてどう生きるか生き惑っている人にマジおすすめです。2012/12/02
NEWJPB
0
早稲田大学小説の1つ(他には原田宗典「十九,二十」、秦建日子「SOKKI」などが浮かぶ)と思って読み始めたら、比較的軽い文体で重い内容が語られていることに驚いた。そして、物語後半になるにつれて、解答を得られるかと思って読み進めるも、ラストは読者にとっては宙吊りの状態が続くものであったことは確かです。この問いに安易な解答なんてないのだなー、と、思うことで納得できた。青年が抱きがちな問いを、平易に示し、かつ「やっぱ肉体でしょ」みたいな安易な解答に陥らない。謎かけだと思って、読むと良い。2014/03/12