内容説明
科学力と創意工夫で生産力を飛躍的に向上させ、度重なる食糧危機を回避し、増加してきた人類。数百万年にわたる食糧大増産の軌跡を解明し、21世紀の食糧危機を見通す壮大なドラマ。地球誕生から現代まで、試行錯誤の軌跡を追う。
目次
プロローグ 人類が歩んできた道
1 鳥瞰図―人類の旅路のとらえかた
2 地球の始まり
3 創意工夫の能力を発揮する
4 定住生活につきものの難題
5 海を越えてきた貴重な資源
6 何千年来の難題の解消
7 モノカルチャーが農業を変える
8 実りの争奪戦
9 飢餓の撲滅をめざして―グローバル規模の革命
10 農耕生活から都市生活へ
著者等紹介
ドフリース,ルース[ドフリース,ルース] [DeFries,Ruth]
コロンビア大学、経済・進化・環境生物学部(E 3B)教授。「持続可能な開発」に関する研究に携わる。ニューヨーク在住
小川敏子[オガワトシコ]
翻訳家。東京生まれ。慶應義塾大学文学部英文学科卒業。小説からノンフィクションまで幅広いジャンルで活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬弐仟縁
35
2014年初出。人類は社会的学習の達人だ(062頁)。リチャードソンとボイドの文化の定義:同種に属するメンバーから教わる、相手を模倣する、社会的コミュニケーションを通じて情報を得ることで影響を受け、行動が変わる。累積学習の上に成立(065頁)。累積学習に親から子に知恵を継承(072頁)。過剰なリンは淡水湖に富栄養化を引き起こす。過剰な固定窒素は沿岸域に酸欠海域を出現させる(158頁)。2016/05/26
ちぃ
20
もうちょっと専門的なものをイメージしてたけど広く浅かった。歴史も地域も広くて、もう倍の量でもう少し掘り下げが欲しかった2019/06/08
勝浩1958
15
飢餓を克服するために、人間は品種改良や土地改良、肥料や農薬の開発など様々な工夫を行ってきた。今でも飢餓や貧しい食に苦しむ人々が多くいるいっぽうで、飽食や高タンパク高脂質の摂取で肥満や肥満が原因の病気にかかる人も多くいます。私の小学生の頃はまだ日本は貧しく、学校給食の一部はアメリカからの配給でありました。その後、高度経済成長を遂げGDPは世界第2位となり、一億総中流社会が到来してからは、満足に食べられないようなことはなくなりました。いまはまったく飽食の時代ですが、若者の食の質は決して良いとは言えません。2016/02/06
Francis
13
いわゆる農業革命以降、人類はどのようにして食糧を作るようになったかの通史。このような食糧生産に関する歴史は知らないことが多く、とてもためになる本だった。著者が将来の人類の食糧生産の見通しについて楽観的なところも注目。2018/02/13
Noboru
10
食糧増産が自然を壊すから悪だとか、人間を飢餓から救う行為で尊いことだとかの単純な二元論ではなく、人類がどのように食糧を確保しようと試行錯誤し、どんな失敗を重ねて、現在の食糧状態、ひいては人類の活動に至ったのかを述べた興味深い著作でした! 狩猟採集から農耕牧畜に移行した時期に発生した、大きな生活スタイルと栄養の変化、そしてそれに伴い訪れる不平等で階層的な社会変化。 大航海時代の交易によりもたらされる新たな食品の供給と、それに伴う病気の蔓延、害虫による新たな飢饉。 続く→2016/05/08