内容説明
科学力と創意工夫で生産力を飛躍的に向上させ、度重なる食糧危機を回避し、増加してきた人類。数百万年にわたる食糧大増産の軌跡を解明し、21世紀の食糧危機を見通す壮大なドラマ。地球誕生から現代まで、試行錯誤の軌跡を追う。
目次
プロローグ 人類が歩んできた道
1 鳥瞰図―人類の旅路のとらえかた
2 地球の始まり
3 創意工夫の能力を発揮する
4 定住生活につきものの難題
5 海を越えてきた貴重な資源
6 何千年来の難題の解消
7 モノカルチャーが農業を変える
8 実りの争奪戦
9 飢餓の撲滅をめざして―グローバル規模の革命
10 農耕生活から都市生活へ
著者等紹介
ドフリース,ルース[ドフリース,ルース] [DeFries,Ruth]
コロンビア大学、経済・進化・環境生物学部(E 3B)教授。「持続可能な開発」に関する研究に携わる。ニューヨーク在住
小川敏子[オガワトシコ]
翻訳家。東京生まれ。慶應義塾大学文学部英文学科卒業。小説からノンフィクションまで幅広いジャンルで活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アナクマ
37
霞を食っては生きられない。自然環境に手を加え、動植物を摂取して命をつなぐ私たちの食の文明史。◉1-3章。構えは大きい。高所から人類活動をとらえる導入部、この惑星の特性、遺伝子に累積学習と、なかなか「食」に至りません。しかし読ませる。語りは心地良く、一般向け「人文&自然科学」の類書と比べても読みやすさを感じました(混合歩合は4:6の印象)。難易度も私にはちょうどいい。◉4章_定住生活に移行してからの食糧調達の難題「土壌養分と労働力の補充」。窒素・リンの循環。家畜の活用。ある意味では外部不経済の始まり。続く。2021/06/02
壱萬参仟縁
35
2014年初出。人類は社会的学習の達人だ(062頁)。リチャードソンとボイドの文化の定義:同種に属するメンバーから教わる、相手を模倣する、社会的コミュニケーションを通じて情報を得ることで影響を受け、行動が変わる。累積学習の上に成立(065頁)。累積学習に親から子に知恵を継承(072頁)。過剰なリンは淡水湖に富栄養化を引き起こす。過剰な固定窒素は沿岸域に酸欠海域を出現させる(158頁)。2016/05/26
アナクマ
29
5-6章_交易の本格化とコロンブス交換。窒素、水、リンの確保。グアノの堆積30m。硝石戦争はボリビアから海岸線を奪い、バッファローの骨は貨車単位で拾い集められる。仮想水。ハーバー・ボッシュ法の考案。ラチェットは回る。◉10章_ 論は偏らず平易なまま現代に到達。10億の飢餓と10億の肥満、そして地球の疲弊を指摘しておきながら、立場も結論もソフトすぎると誹るだろうか。「もともと人類は自然界から課せられた制約のもとで生きる以外なかった」の一文が、「何かと便利に使われる」持続可能な未来への道標になると信じよう。→2021/06/09
アナクマ
27
改題「食糧増産の人類史」。7章_モノカルチャー。自然選択、品種改良のしくみ解説はちょっと退屈。続いてトウモロコシ・小麦・大豆の事例紹介でしたが、穀物メジャーの毀誉褒貶なども知りたかったところ。◉「人類は豊かになるにつれてデンプン質の摂取量が減る(畜産物が増える)」→「あらゆる国、あらゆる文化にあてはまる共通のパターン」として「かなりいい線までいった」事例とのこと。◉飼料からのタンパク質変換効率(というのかな)は、牛肉5%、鶏肉25%、牛乳40%。要は太陽エネルギーの濃縮のさせ具合の違い(化石燃料も含め)。2022/03/05
ちぃ
20
もうちょっと専門的なものをイメージしてたけど広く浅かった。歴史も地域も広くて、もう倍の量でもう少し掘り下げが欲しかった2019/06/08