内容説明
独立から奇跡的な経済成長、そして繁栄社会の実現―不可能とされた目標をわずか一代で達成できたのはなぜか。困難な状況下で指導力を発揮し、社会を革新できた理由とは。経済と国防、世界情勢に対する危機意識を常に持ちつづけ、戦後アジアを代表する国家指導者として60年以上も君臨しつづけてきたリー・クアンユーが、中国の台頭、アメリカとの距離感、シンガポール衰退の可能性など、未来世界の予想図を次世代に語る。
目次
第1章 沼地に立つ八〇階建てのビル
第2章 人民行動党は存続するか
第3章 最良の精鋭たち
第4章 奇跡的な経済成長を持続するために
第5章 異邦人からシンガポール人へ
第6章 大国のはざまで
第7章 夫、父、祖父、そして友として
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Moloko
2
シンガポールの理解のためにその建国者・国父として君臨したクアンユーを知るために読んだが、彼は用心深くて常に国の危機感を高く持ち、かつ効率的という意味での高い合理性を備えた人物だと思った。判断力の高さや極度のプラグマティズムとしっかりと自分の主張を表明する意志の強さは危機下におけるリーダーに必要な特質ではないかと感じた。そして、経済成長を実現する国のシステムを完成させた管理能力も人並み外れていると思う。しかし、彼のDNA・エリート偏重は勝てる者の家系がますます繁栄させて機会の均等を歪めて他の人々の希望を奪う2017/09/25
J Y
2
マレーシアから独立した当初のリアルな危機感などをインタビューの端々に感じたw. そんな極小国であったシンガポールを生き延びらせる,更には発展させていくための,リアルかつプラグマティックかつ合理的な政策を強烈なリーダーシップで進めていった凄さは半端じゃないな. 間違いなく稀代の政治家だな. 2015/03/06
shimayan
2
シンガポールの過去・現在・未来はこの人が何を考えている(きた)かを知らずして、何も理解できないのだな、と。読んでいてドキドキしてくるくらい直截なものの言い方だが、不思議と読後感は悪くない。机上の学問ではなく自らの見聞きと実行から得た実践的な答えや教訓だから、口は悪いが言ってることには強い説得力がある。2014/02/23
カツ
1
★★★☆☆ 大変興味深い内容だったが、非常に分かりづらい日本語だったのは意図的なのだろうか。それとも訳者の日本語力が低いのか。ただ、いずれにしてもこれまでのシンガポールを勉強するには非常に有益な本だった。2018/08/15
me-kita
1
シンガポールにいる間に出来る限りこの国のことを知るべきと思い読み始めた何冊かなうちの一つ。ここに来る前はシンガポールは明るい北朝鮮と聞いていたので、リー一家率いる独裁的な政治が行われている国という印象があった。こちらにきてこの国の歴史(非常に短いが)や政治、経済のあり方を学んでいくうちに、日本にこれほどまでに自国のことを考える政治家がいるだろうかとリー氏の考えと姿勢に改めて感銘を受けた。すぐに空気を読みその空気に流される日本人とは正反対の現実を直視し、地に足のついた偉大な政治家だ。2017/08/24