内容説明
小説家が美術展を、美術家が映画を、毎月1本選び、同じ新聞紙面でレビューをたたかわせる。異なるジャンルの表現の先端に触れ、その可能性と限界にまで踏み込んだ言葉のジャムセッション48回。
目次
サガン―万華鏡の視覚
ディア・ドクター―ウィンター・ガーデン
バーダー・マインホフ―名和晃平『L_B_S』展
九月に降る風―伊藤公象WORKS 1974‐2009
アニエスの浜辺―北島敬三1975‐1991
アンナと過ごした4日間―アイ・ウェイウェイ展
脳内ニューヨーク―ルイス・バラガン邸をたずねる
戦場でワルツを―THE OUTLINE見えていない輪郭展
Dr.パルナサスの鏡―レベッカ・ホルン展
カラヴァッジョ天才画家の光と影―エレメントセシル・バルモンドの世界〔ほか〕
著者等紹介
森村泰昌[モリムラヤスマサ]
1951年大阪市生まれ。京都市立芸術大学美術学部卒業、専攻科修了。85年ゴッホの自画像に扮するセルフポートレイト写真を制作。以降、一貫して「自画像的作品」をテーマに作品を作り続ける。現在、ヨコハマトリエンナーレ2014の芸術監督を務める
平野啓一郎[ヒラノケイイチロウ]
1975年愛知県生まれ。北九州出身。京都大学法学部卒。98年在学中に文芸誌「新潮」に投稿した『日蝕』により、翌年第120回芥川賞を受賞。以後、数々の作品を発表し、各国で翻訳紹介されている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まる
31
小説家が美術展を 美術家が映画を批評。映画評はわかりやすいが 美術評は実物を観ない限り なかなかに難しい。それでも目の前にパーッと空間が広がってくる批評もあった。さすが平野啓一郎。2015/07/04
Royalblue
7
美術家が映画を作家が美術展批評をしたクロスボーダーレビュー。一冊にまとめた本としての限界を感じるのは、映像も視覚も文章に変換されていることにある。見たことがない作品に関しては、導入となるが、写真も映像も掲載されていない本という媒体で共感を生むのは難しい。美術展の頁は一つ一つネットで検索しながらの鑑賞が良い。2016/01/25
nizimasu
5
作家の平野啓一郎さんが美術批評を、アーティストの森村泰昌さんが映画評をするという連載。それにしれも名文家といわれる平野さんでも美術評は難しいなという印象。森村さんは、映画でも大作ではなく、ドキュメンタリーやヨーロッパの作品が多くて実は結構面白そうな作品が多いなと思える。でも白眉は巻末の対談では「わからない」モノに対する大事さみたいなものを語り合っていて、それが一番の収穫。わかりにくいものを味わいた人でありたいなと軽く思ったりして…2013/12/03
法水
2
2009年から4年にわたって日本経済新聞に掲載された森村泰昌さんと平野啓一郎さんによるレビュー集。巻末に2人による対談を収録。森村さんが取り上げている映画はそこそこ観ているが、平野さんが取り上げている美術展は3つしか見ていなかった。映画なら後でDVDなどで鑑賞するという手段もあるが、美術展の場合は演劇と同じく場所と時間が限られてくるため、自ずと鑑賞者の数も限られてくる。その点が美術展のレビューの難しいところで、分からなさの面白さを言葉で伝えようと腐心する平野さんの苦労がしのばれた。2013/10/31
ybhkr
0
ぐいっと引き込まれた。展示会は無理だけど映画はいろいろチェックできた。中村正義のドキュメンタリー見たいな。岡本太郎美術館で見てから気になっているから。平野さんと芸術に対する価値観が似ているのでスッと言葉が入ってきた。私は、芸術が技術的に高度であることの価値を疑わない。まさしく、私がいつも行っていることをきれいな一文にまとめてもらった。危険なメゾット、フードインク、シスタースマイル・ドミニクの歌、パリ・オペラ座のすべて、脳内ニューヨーク、バスキアのすべて、源氏物語、ビナ・バウシュ夢の教室。レビューなし含む。2016/12/07
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