内容説明
律令時代から近代まで、日本人が気候変動に起因する災難にどう立ち向かってきたかを豊富なエピソードとともに描く。知られざる闘いの軌跡。
目次
プロローグ 太陽活動と火山噴火がもたらす気候変動
第1章 平城京の光と影
第2章 異常気象に立ち向かった鎌倉幕府
第3章 「1300年イベント」という転換期
第4章 戦場で「出稼ぎ」した足軽たち
第5章 江戸幕府の窮民政策とその限界
エピローグ
著者等紹介
田家康[タンゲヤスシ]
(独)農林漁業信用基金漁業部長。1959年神奈川県生まれ。1981年横浜国立大学経済学部卒。農林中央金庫農林水産金融部部長(森林部門担当部長)を経て、2011年より現職。2001年気象予報士試験合格。現在、日本気象学会会員、日本気象予報士会東京支部長、(株)農林中金総合研究所客員研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ゲオルギオ・ハーン
28
気候に注目して奈良時代から江戸時代までの日本史を読み解き、当時の朝廷や幕府の気候変動による危機への対応をまとめている。現代的な感覚からすると奈良時代はエコなイメージがあるが、まったくそんなことはなく大型木造建築ラッシュにより森林伐採を積極的に行い、森林の水源涵養機能を奪い、灌漑も発達していなかったこともあり干ばつによる不作に悩んでいた。無いところからはとれないので免税措置をしますがこれが税制崩壊、荘園の拡大へと繋がっていく。さらに大陸から疫病も来て聖武天皇が平城京に嫌気が差すほどにまで混迷している。2024/03/01
雲をみるひと
23
気象予報士会東京支部長で気候と歴史に関する著書の多い作者の日本史と気候を預かった本。出版時期の問題もあるかもしれないが本作はどちらかと言えば歴史寄りのアプローチに思えた。気候と大枠の歴史というより気象現象と個々の歴史イベントの関係を見る方が気象予報士との相性はよいように思う。2024/11/13
bapaksejahtera
14
才人の著者。本書では我が国の異常気象と飢饉の歴史を述べる。我が国人口は、歴史時代に入るや移出入の増減ではなく技術革新、耕地拡大による増産に、天候不順による飢餓を交えて大きく変動しつつ拡大した。この内飢饉を齎す要因を本書は、地球規模での火山噴火、太陽黒点の変動、エルニーニョ等大規模気象を挙げ、これらが複雑に絡まる様相を詳述する。律令体制の崩壊による農業生産力低下を押し留めた荘園の拡大、13C後半に鉄製の農具が大きく普及し農村の武力強化と惣村形成に繋がったとの指摘は興味深い。全体を纏めたエピローグも解り易い。2026/06/09
KAZOO
12
文献をかなり読み込むことによってここまで分析してこのような本をものにしたことに対して敬意を表したい気持ちにさせてくれます。同じ著者の気候文明史も読みましたが、こちらの本のほうが身近に感じます。日本の歴史はかなりな異常気象にさらされてきたということがよくわかります。読んでも面白いし、この著者の研究の仕方も参考になります。2013/12/04
或るエクレア
11
気候変動が歴史を大きく動かすとともに、私達のご先祖様が飢饉に対してどれだけ抵抗してきたかがわかった。北条泰時は一時的に奴隷制を認めたり、冬麦の栽培促進&麦の非課税等画期的な対策を打った。田沼意次は発達させた市場経済によって飢饉に対処しようとしたが、逆に飢えた東北に米が行き渡らなくなり売り惜しみや価格の乱高下で全く飢饉に対処できなくなって失脚した。弱者救済と市場経済はこの頃から相性が悪かった。歴史好きの人にはぜひお勧めしたい一冊。2015/08/11




