内容説明
わらしべ長者、寝太郎etc.―したたかに、たくましく生きる知恵を伝える昔話。その驚くべき「語りの法則」、隠されたメッセージ、民族の記憶を説き明かす。
目次
序章 昔話の魅力―大人も子供も、一度聞いたら忘れない
第1章 昔話の「法則」―『いばら姫』より
第2章 昔話は「真実」を語る
第3章 昔話は「成長」を語る
第4章 昔話は「残酷」を語る
第5章 子供は生の声で物語を聞きたがっている
終章 昔話のメッセージ
著者等紹介
小沢俊夫[オザワトシオ]
現在、昔ばなし大学/昔ばなし研究所主宰、筑波大学名誉教授。1930年中国長春生まれ。東北大学ドイツ文学科卒。東北薬科大学、日本女子大学、独マールブルク大学客員教授、筑波大学副学長、白百合女子大学教授を歴任。国際口承文芸学会副会長、日本口承文芸学会会長もつとめる。92年から全国各地で「昔ばなし大学」開講、98年から「昔ばなし研究所」を主宰
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ありんこ
9
残酷な場面をカットしてしまう最近の絵本に警鐘をならし、生の声で昔話の真実を伝えることが大事。昔話には人生に必要なエッセンスがいっぱい詰まっている。子どもへの接し方についてもいろいろと学ぶところがあり、とても参考になる一冊でした。2010/10/18
はら
3
シンデレラがラブストーリーではなく、揺れうごく若者精神の物語だったとは。小説が芸術作品だとしたら、昔話は洗練された工業製品か。ずっと語り継がれてきたものだから、無駄は削ぎ落とされてその機能だけに特化している。反対に、小説と違って耳で聞くものだから、省略されないところも面白い。働くお父さんのための、ということで、ある意味説教話のような部分もあるけれど、「昔はよかったのに現代は」と切り捨てるのではなく、ではどうしたらいいかというところまで言及されているから良かった。2017/06/11
つくよ
3
「日本の子どもたちは大丈夫?」と友人と話をしたばかり。「経験ではなく歴史から学べ」という言葉に他で出逢い、そのために何をすべきか模索していた。やはり荒廃しているのは、子どもではなく大人だ。昔話は、人の生きてきた歴史を語る。食うか食われるかの知恵や残酷さやしたたかさ、きれいごとだけでは終わらない人生を、端折らずに伝えなければ意味がない。言葉尻をきれいごとに変えずに、生きるという事の本当を子どもたちに伝えていかなければ。大人の生の声で子どもに昔話を語る。生の声の持つ力を「叱る」以外に使わなくてはもったいない。2016/08/17
大塚
3
子供の事を考えて残酷な部分を省くことが結果として昔話の教育面を損なっている等昔話について色々と考えさせられる本でした。2014/03/01
tnk.UZ
3
情報化社会によって情報の真偽が曖昧なままに全てを知ってしまったかのような錯覚に陥るこのご時世だからこそ、真実を後世に伝えていきたいと思うようになりました。良本。2012/09/11