出版社内容情報
●経済学の活用はこれからが本番
市場メカニズムを活用し、競争を促進し、最適な資源配分を行う政策が競争政策ですが、先駆者である米国において競争政策に経済学が活かされるようになってまた半世紀しかたっていません。ひるがえって日本においても、競争政策で法学と経済学とが協力することの重要性は30年以上前から認識されていたものの、独禁法の実務における経済学の活用は未だに黎明期を脱し切れていないのが実情です。
それに加えて、日本はさらなる変化に直面しています。①国内における長期的な人口減少による市場縮小、②サイバー空間における経済活動の進展、の2つの課題に直面し、従来の競争政策の発想の転換が必要となっています。
この2つの課題は、競争判断のあり方に新たな課題を突きつけています。従来は、シェアなど市場画定を通じて実質的な競争が制限されているかを判断してきましたが、この2つの課題においては、市場画定の重要度が相対的に減じ、経済学的な観点からの競争への効果をより真剣に分析する必要が出てきています。九州における地銀の経営統合が紆余曲折の上に認可された背景にも、そのような政策転換のジレンマがあるのです。
本書では、そうした問題意識に立ち、日本における競争政策のあるべき姿を経済学の立場から論じます。基本的な考えから、デジタル財、企業合併など最新のトピックスまで網羅し、日本における経済学の位置づけについても批判的に振り返ります。
●ミクロ経済学のエースによる初の単著
電力、ネットワーク産業、鉄鋼業、農業など多岐にわたる産業研究を行ってきた成果を背景に、競争政策と経済学の関係について解説する筆者初の単著です。
内容説明
成長、製造業を前提とした政策を転換せよ。競争政策の目的は、市場が独占されることを禁止し、競争の活性化を通じて、買い手を含む社会全体にメリットをもたらすこと。だが、日本は、人口減少による市場縮小、経済のデジタル化という環境変化に直面し、競争政策の大胆な転換が必要となっている。本書は、公共調達、携帯電話、電力システム改革、再生エネ政策、企業合併、産業政策、デジタル市場などの分析にもとづいて、新しい政策方針を明らかにする。
目次
転換点を迎える競争政策
第1部 市場支配力と産業組織論(競争政策と産業組織論;経済の「寡占」化と競争政策のアプローチ)
第2部 競争政策が注目する産業分野(公共調達における競争政策;携帯電話市場における競争政策―アンバンドリングの効果;電力市場における競争政策―システム改革の評価;補論 地球温暖化対策における競争政策の視点―再生エネ政策からの学び)
第3部 人口減少時代における競争政策(人口減少局面に求められる企業合併の視点;競争政策と産業政策の新たな関係)
第4部 デジタル市場における競争政策(デジタルカルテルと競争政策;デジタル・プラットフォームと共同規制)
ポストコロナ時代に求められる競争政策の視点
著者等紹介
大橋弘[オオハシヒロシ]
東京大学公共政策大学院院長、東京大学大学院経済学研究科教授、経済産業研究所プログラム・ディレクター、公正取引委員会競争政策研究センター主任研究官。1993年東京大学経済学部経済学科卒業、95年東京大学大学院経済学研究科修士号取得、2000年ノースウェスタン大学Ph.D.取得、同年ブリティッシュ・コロンビア大学(カナダ)経営・商学部助教授、03年東京大学大学院経済学研究科助教授、07年同准教授、12年同教授、20年より現職。第3回円城寺次郎記念賞(日本経済新聞社、2012年)受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Akiro OUED
K
はすはす