日本経済のマクロ分析―低温経済のパズルを解く

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日本経済のマクロ分析―低温経済のパズルを解く

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  • サイズ A5判/ページ数 241p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784532134976
  • NDC分類 332.107
  • Cコード C3033

出版社内容情報

●日本経済を議論する上での基本書登場

 バブル崩壊、デフレ、少子・高齢化などの他の国に先駆けた重い課題、苦悩を背負ってきた日本経済は1990年代以降模索を継続しています。様々な政策も実行してきましたが、低成長・低体温から脱却できてはいないのは何故なのでしょうか。このパズルを解くことが必要です。
 本書は、この30年で日本経済のメカニズムがどのように変わり、新しいパターンが生み出されているのかを解明するもの。(マクロ)経済学の発展・最新成果・オリジナルな研究を十分取り入れ、これまでの経済学の理論・実証分析の蓄積を活用し、日本の状況に合った「テーラーメイド」の経済学を意識し、日本のマクロ経済の変化と現状の鳥瞰図を示し、包括的に論じます。
 本書の基本アプローチは、経済白書など公開データを活用しながら、理論、歴史(1980年代~)、国際比較の三位一体で日本経済の変質を明らかにするもの。
 また本書では、最先端のマクロ経済学を柔軟に活用する。具体的には、各経済主体の行動様式を解明しながら(ミクロ的基礎重視)、それらの主体が相互連関しながら経済全体としてどう動くか(一般均衡視点重視)を考えていきます。マクロ的視点、ミクロ的視点を自在に行き来しながら様々な主体、要因などの連関を考える。
 政策提言については、エビデンスに基づいた政策が強調され、エコノミストや経済学者が政策決定プロセスにより関わるようになったにもかかわらず、むしろ、現実にはエビデンスから離れた政策が行われるようになってきているという問題意識で臨みます。平成のマクロ経済政策をそうした視点から批判的に検討し、警告を発します。
 日本経済をデータから正面からとらえた本書は、これからの日本経済を語る上での基本書となります。

内容説明

バブル崩壊、デフレ、少子・高齢化などの他の国に先駆けた重い課題、苦悩を背負ってきた日本経済は1990年代以降模索を継続している。様々な政策も実行してきたが、低成長・低体温から脱却できてはいないのは何故なのか。このパズルを解くことが必要だ。本書は、この30年で日本経済のメカニズムがどのように変わり、新しいパターンが生み出されているのかを解明するもの。(マクロ)経済学の発展・最新成果・オリジナルな研究を十分取り入れ、これまでの経済学の理論・実証分析の蓄積を活用し、日本の状況に合った「テーラーメイド」の経済学を意識し、日本のマクロ経済の変化と現状の鳥瞰図を示す。

目次

序章 「課題先進国」としての苦悩とその克服に向けて―本書の立場・スタイル
第1章 鈍化した経済成長
第2章 大きく変化した日本経済の部門間バランス
第3章 変貌する景気循環
第4章 労働市場からのアプローチ―人手不足、賃金、物価をめぐるパズル解明
第5章 企業行動戦略からのアプローチ―物価と設備投資をめぐるパズル解明
第6章 家計の貯蓄率はなぜ低下したのか―消費・貯蓄行動をめぐるパズル解明
第7章 平成の財政・金融政策の機能不全―残された政策課題とは何か
第8章 「低成長・低温経済の自己実現」の打破を目指して

著者等紹介

鶴光太郎[ツルコウタロウ]
慶應義塾大学大学院商学研究科教授。1984年東京大学理学部数学科卒業、2003年オックスフォード大学経済学博士号(D.Phil.)取得。1984年経済企画庁入庁、OECD経済総局エコノミスト、日本銀行金融研究所研究員、経済産業研究所上席研究員などを経て現職。主な著書に『人材覚醒経済』(日本経済新聞出版社、日経・経済図書文化賞受賞)などがある

前田佐恵子[マエダサエコ]
内閣府大臣官房人事課企画官。1999年京都大学経済学部卒業、2003年京都大学経済学修士取得。2000年経済企画庁入庁。連合総研主任研究員、内閣府経済社会総合研究所総務部総務課課長補佐、内閣府政策統括官(経済財務分析担当)付参事官補佐(総括担当)、日本経済研究センター研究本部主任研究員などを経て現職

村田啓子[ムラタケイコ]
首都大学東京経済経営学部教授。1986年東京大学経済学部卒業、99年オックスフォード大学経済学博士(D.Phil.)取得。1986年経済企画庁入庁。OECD経済総局エコノミスト、内閣府経済社会総合研究所上席主任研究官などを経て現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

小鳥遊 和

5
官庁エコノミストが見た日本。第1章:潜在成長は資本投入、労働投入、他(残余)が支えた。90年代からの成長率低下の要因は短時間就労者(女性、高齢者、非正規)増で労働時間減と労働の質低下、情報化投資低調で資本収益率低下し設備投資伸びず。第2章:家計と企業の貯蓄超過が問題。後者は特筆すべき特徴、第5章で解明する。第5章:内部留保増は「背景の一つにM&Aが盛んになったことが考えられる」とだけ述べ実証なし。第7章:財政赤字と債務残高増の原因は高齢化による社会保障費増と税負担の低さ。消費税率15%に引き上げが不可避。2025/03/19

Kooya

4
旧経済企画庁での勤務経験がある学者・エコノミストによるオーソドックスな日本経済論。簡明な説明で日本経済の現状を分かりやすく伝えるという目的のもと、図表や平易な表現を多用して設備投資や雇用に係る分析を提示している。個人的には概ね同意できる内容であったが、財政・金融政策の部分に関しては、典型的な緊縮論であったため、留意する必要があると感じた。2024/06/29

しゅー

4
★★★「その時々の最先端の経済学を日本経済に適用できるように徹底的に『咀嚼』『消化』した上で、単純な図に経済の本質を語らせる」と言うのが著者達の目論見だ。最後の提言は弱く感じられるものの、非常に見通しのよい整理で、企業部門の貯蓄超過の継続、労働市場の独特な構造、企業の価格戦略の3つが「低成長▪低温経済の自己実現」を引き起こしていることが分かる。成長戦略に過大な期待をかけず、構造改革から逃げないことが大事だ。もし、論証が丁寧すぎてかったるく感じる方はp.213のサマリーが便利なので先に読むことをお奨めする。2020/04/22

みみずばれ

3
日本経済の30年にわたる不調の理由をマクロ経済学的に丁寧に分析・解説した本。素晴らしい。アベノミクスの総括部分が特に印象的だった。「三本の矢」のうち、金融・財政政策はそもそも伝統的な不況対策手段に過ぎず、潜在的な成長力を高めるものではない。小泉政権では「構造改革」という名で、痛みを伴ってでも成長に必要な改革は行うという性質だったものが、第一次安倍政権以降「成長戦略」と表現も内容も国民ウケの良さそうなものに姿を変え、あたかも政府が成長力を自在に操ることができるかのような幻想を広げる原因になったと批判している2024/12/06

se1uch1

3
単純な図に経済の本質を語らせると言う著者達の目論見通り、低迷する日本経済の背景が豊富な図によって丁寧に解説されている。投資も消費も将来不安が大きな原因の一つであり、これを解消するために、大きく動かしていくのは政治なのかもしれないが、国民一人一人のマインドが変わらないと意味がない。特に若い世代が、高度成長期のようにどんどん成長していこうという気概がないと将来不安の払拭は難しい。政治任せではやっていけない時代になっているのだと思う。2021/02/13

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