内容説明
個票分析という最先端の手法で、「失われた10年」における企業と消費者の経済行動を鋭く解明。
目次
プロローグ マクロ経済政策のミクロ的実証を
第1章 九〇年代大停滞の犯人を探す―家計消費・企業投資はなぜ停滞したか
第2章 進化しているマクロ経済学―家計・企業は将来を見据えて行動する
第3章 地域振興券政策は消費刺激効果をもったか―ミクロデータで検証する商品券政策
第4章 従来型の景気刺激策は効果をもったか―所得減税・法人減税の効果
第5章 資産価格の大幅下落と消費・投資行動―バブル崩壊の後遺症の評価
第6章 デフレ期待と消費・投資行動―長期マイルドデフレの評価
第7章 期待成長率の低下と不確実性の増大―将来への悲観論・不透明感が家計・企業を萎縮させた
第8章 これからのマクロ経済政策の処方箋―家計・企業の期待にどう働きかけるか
エピローグ 実証に基づいた政策を
著者等紹介
清水谷諭[シミズタニサトシ]
一橋大学経済研究所助教授。1967年生まれ。1990年東京大学法学部を卒業、経済企画庁入庁。調整局、調査局、長官官房、総合計画局、内閣府物価政策課、同経済社会総合研究所を経て、2004年4月から現職。内閣府経済社会総合研究所客員主任研究官を兼務。1997年から99年までミシガン大学に留学し、2002年経済学博士号(Ph.D. in Economics)取得
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感想・レビュー
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お米
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経済学とタイトルについているが教科書的なものではなく、失われた20年の原因を実証分析したもの。本書ではGDPや失業率といったマクロデータではなく、個別の家計や企業についての統計であるミクロデータを基に分析している。ルーカス批判以降、マクロ経済学にはミクロ的裏付けが求められるようになったが、日本の実証研究では依然としてマクロデータによる分析が多いので、その点で本書は価値がある。でも厳密だ(長い)から、参考文献にでも使う人以外は最初と最後と興味のあるトピックだけ読めば要点をつかめると思う。2011/11/16