Science and technology<br> 導電性高分子のはなし

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導電性高分子のはなし

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  • サイズ B6判/ページ数 149p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784526044182
  • NDC分類 578
  • Cコード C3054

出版社内容情報

「導電性高分子を研究することのおもしろさと深さ」
推薦の言葉
白川 英樹
 導電性高分子の代表格ともいうべきポリアセチレンの研究を始めたのは,大学院を了えて助手になってからである。子供のころから将来やりたいことがいくつかあったが,その一つである新しい役に立つプラスチックを作りたいという希望が生涯の仕事となった。
 ポリアセチレンは実際にこの世に生まれる前から,理論家の間では有機物としては極めて特異な性質を持つであろうということが早くから指摘されていた。しかし,合成するのが難しくて実現が遅れていたのである。1958年になって,やっとイタリアの高分子合成化学者であるナッタらのグループによって初めて合成されたが,不溶・不融の真っ黒い炭の粉のようなもので,まともに研究ができるような代物ではなかった。しかし,実際に合成され,研究が始まると実に興味深く奥の深い物質であることが分かってきた。
 世の中には思いもかけない出来事が意外とよく起こるものである。ポリアセチレン薄膜の合成も偶然というか,むしろ失敗実験から生まれたものであったし,この薄膜が臭素やヨウ素などのハロゲン分子と反応して金属的導体になる,いわゆるドーピングの発見も,その始まりは偶然がきっかけであった。もともと子供のころから自然と親しむ機会が多く,自然観察が好きだったことが幸いして,どちらかというと物事をじっくり深く見るという習慣がついていた。ポリアセチレン薄膜の合成に成功したことも,ドーピングの発見も,そのような出会いを見逃さなかった,ということが導電性高分子の発見と開発の本質であったと思っている。
 これらの発見が契機となって世界中で導電性高分子の研究が盛んになり,ポリアセチレン以外にも数々の材料が開発され,理論が予測した以上に思いもかけないような面白い性質が色々と見出された。この結果,導電性高分子は非常に多彩で変化に富む,とてもすばらしい物質であることがいよいよ明らかになってきた。実際,多くの導電性高分子は美しい色,とりわけ金属のような光沢をもつものが多く,研究をやっていても大変楽しくやりがいのある材料である。
 もう一つ大切なことは,この導電性高分子に関する基礎研究が基盤にあって,それをさまざまな形で応用できることが見出され,素子が提案されたことである。その結果,20世紀の末には導電性高分子を用いた電解コンデンサ,二次電池などが実用化され大きなマーケットができ,さらにエレクトロルミネッセンスなども実用性能のものが出始め,近々大きなマーケットを形成することは確実視されており,その将来が大きく期待されている。
 このように,導電性高分子が実際に世の中に役に立ち始めたということがあったからこそ,20世紀最後の年という記念すべき時に,ノーベル化学賞がヒーガー先生,マクダイアミッド先生とともにいただけたものと思っている。
 このことが可能になったのは,もちろん,化学者だけでなく,物理,エレクトロニクスをはじめ,さまざまな分野の研究者や技術者の研究開発への参画があったからこそと思っている。導電性高分子の研究はその初期からさまざまな分野の研究者が同じ土俵で研究し,討論できたことが幸いしたと思っている。
 最近,若い人たちの科学技術離れの進んでいることが話題になっている。それは,科学が楽しいもの,美しいもの,わくわくした気持ちにさせてくれるものであるということに気づかないからである。若いときにこのようなことを体験し,知ることが非常に大切である。この点から言って,導電性高分子はこの上ない材料であり,ぜひ若い方にも導電性高分子を知っていただきたい,見ていただきたいと常日頃考えている。
 そのためには,若い方や専門的知識をもたない方,自然科学を勉強した人でもこの分野は初めての人にも理解していただけるように,やさしく書かれた本がぜひほしいものと考えてきた。本書は十分にその期待に添うものである。
 広く有機物を含めてプラスチックは絶縁体であるということは子供でも知っている常識である。しかし,よく考えてみると絶縁体という性質は明らかに電気的性質の一つである。つまり,絶縁体,半導体,金属などは,電気を通さないかよく通すかという一連の性質で物質を分類したものである。したがって,なぜ電気を通さないかという疑問と,なぜ電気を通すかという疑問は,表と裏という関係よりも,ほとんど隣り合った関係にあることを理解していただきたい。吉野先生が行ってきたご研究を振り返ってみると,有機物の絶縁性がその出発点である。最近のご興味は導電性高分子に関することだけと思われるかもしれないが,吉野先生のご研究は一貫してプラスチックを含めた有機物が電気を流さなかったり,流したりするのは何故か,どんな性質を伴っているか,どんな応用が可能か,などに関するものである。
 本書の主題は,そのきっかけから研究の発展,応用にいたる経緯をやさしく解説した電気を通すプラスチックに関するものである。このような背景を考えると本書は吉野先生でなくては著わせないものであることがお分かりいただけるだろう。
 本書は若い方にも,専門外の方にも,また,応用に視点を置いた技術者の方々にも,導電性高分子を理解していただけるように配慮して書かれたものである。是非,多くの方々が導電性高分子はもちろんであるが,自然科学,更には科学技術が大変面白く,かつ重要であることを認識され,大いに興味の目を開いてこの分野に関心をもって見守っていただきたい,あるいは積極的に関与していただきたいと思っている。世界の明るい未来は夢をもった若者の自発的で,意欲的な取り組みにあると思っている。
 2001年10月導電性高分子のはなし


目次
推薦の言葉
  「導電性高分子を研究することのおもしろさと深さ」…I
はしがき…v
1. プロローグ…1
2. 導電性高分子とは…5
3. 導電性高分子の基本的性質とその起源…11
3.1  導電性とは;電気が流れるということは…11
3.2  原子,分子,高分子の中の電子の状態と電気伝導…12
4. 導電性高分子の電気的光学的性質…35
5. 導電性高分子の開発…51
6. 導電性高分子の応用とその原理…65
6.1  導体…66
6.2  コンデンサ…68
6.3  電子素子(ダイオード,トランジスタ,FETなど)…72
6.4  導電性高分子EL…75
6.5  導電性高分子レーザー…91
6.6  帯電防止,電磁シールド…99
6.7  太陽電池…102
6.8  カラースイッチ素子,ディスプレイ…106
6.9  二次電池,ポリマー電池…109
6.10 センサ…116
6.11 光記録,メモリ…125
6.12 アクチュエータ…127
7. 導電性高分子の未来…129
7.1  導電性高分子超電導…129
7.2  液晶導電性高分子…134
7.3  導電性高分子フォトニック結晶…138
7.4  分子素子,デバイス…141
エピローグ…143
参考文献…145

内容説明

本書は若い方にも、専門外の方にも、また、応用に視点を置いた技術者の方々にも、導電性高分子を理解していただけるように配慮して書かれたものである。

目次

1 プロローグ
2 導電性高分子とは
3 導電性高分子の基本的性質とその起源
4 導電性高分子の電気的光学的性質
5 導電性高分子の開発
6 導電性高分子の応用とその原理
7 導電性高分子の未来

著者等紹介

吉野勝美[ヨシノカツミ]
1941年島根県に生まれる。1964年大阪大学工学部電気工学科卒業。1969年大阪大学大学院工学研究科電気工学専攻終了。同年大阪大学工学部電気工学科助手。講師(1972年)、助教授(1978年)を経て、1988年大阪大学工学部電気工学科教授。その間、1974~1975年ハーン・マイトナー原子核研究所(ベルリン)客員研究員。1996~2000年東北大学工学部電子工学科教授併任。工学博士。1996~1997年電気学会副会長。2000年日本液晶学会会長。1984年応用物理学会賞。1990年大阪科学賞。1997年電気学会著作賞。1998年電気学会業績賞受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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