みてわかる薬学
図解微生物学・感染症・化学療法

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  • サイズ B5判/ページ数 494p/高さ 26cm
  • 商品コード 9784525751319
  • NDC分類 491.7
  • Cコード C3047

出版社内容情報

概要

薬学部で学ぶ微生物・感染症の知識は範囲が広く,覚えなければならないことも多い.また病原微生物は化学療法の主な対象となるため,臨床の現場に出ても重要である.
本書は図表による解説を中心として,読みやすさ,わかりやすさを重視している.また,薬学教育コア・カリキュラムと本文の対応表も掲載.薬剤師国家試験対策にもお勧めの一冊である.

序文

近年,医療環境は医療技術の進歩を踏まえて,各医療系分野において激変を続けている.特にチーム医療の発展により看護師や薬剤師,臨床検査技師などの感染症への対応が重要視されつつある.また,院内感染防止への取り組みへの参加も大きな業務になっている.薬剤師に限って見ると,感染症患者に対する服薬指導,つまり感染症患者の疾患的特性(感染症起因菌,免疫不全,肝・腎疾患,電解質異常,広範火傷など)や生理的特性(新生児,乳幼児,高齢者,妊婦など)を適正に判断し抗微生物薬,解熱鎮痛薬などの用量・用法の確認を正しく行うことが要求される.
いま,薬学領域においては社会や病院の期待に十分に対応できる信頼される薬剤師の育成が求められている.この一助として,日本薬学会の薬学教育カリキュラムを検討する協議会により「薬学教育モデル・コアカリキュラム」が編纂され到達目標の達成を確認できるシステムが導入された.多くの教科書がコアカリキュラムに沿った内容となっている.薬学教育の中で微生物学は必修科目であることから,本書においてもコアカリキュラムに対応しつつ,基礎から臨床への流れを理解し,臨床現場で役に立つ知識を体系的に学ぶことのできる教科書を目指して本書をまとめた.
微生物学はこれまで,病原微生物の生理学的・生化学的・分子生物学的特性,病原因子の役割,感染症発症要因などの基礎的な面の理解に重点が置かれる傾向があった.しかし,先に説明した医療環境の変化を背景としてより臨床面を理解できることを目的とし,本書ではまず,第1章「感染症概論」,第2章「感染症と生体防御」として感染症への病原微生物の関わり,治療面での要点,病態形成と感染免疫を説明した.次に,感染症全体像を理解するため,第3?6章「細菌,ウイルス,真菌,原虫・寄生虫感染症」で各病原微生物の特性を,さらに第7章「化学療法」で抗菌薬の特性(薬効,動態,副作用,耐性菌問題など)を説明し,医薬品の適正使用に繋がるような内容とした.そして第8章「感染防御と感染対策」では感染防御,特に院内感染への対応について臨床現場に即してまとめた.
本図解シリーズでは本文を左ページ,対応する図・表を右ページに可能な限り配し理解を深めるように工夫されており,薬学生のみならず医師,臨床検査技師,看護師など医療従事者を目指す学生の方々にも理解しやすいように構成されている.特に,図・表はサブノート的なまとめの資料として利用できるように配慮した.多くの領域の読者の皆様に目を通していただき,忌憚のないご意見をいただければ幸いである.
最後に,本書の刊行にあたり図版をご提供下さった先生方,南山堂諸氏をはじめとするご助力をいただいた多くの皆様に,心より感謝を申し上げる.

2014年6月
編者を代表して
藤井暢弘

目次

◆ 薬学教育モデル・コアカリキュラム対応表

1章 感染症概論
A 感染症成立の要因
1. 感受性個体
2. 感染源
3. 感染経路
4. 外因感染と内因感染
B 発症からの経過
1. 感染症の推移
2. 持続感染とその重要性
C 発症にかかわる要因
1. 病原体側の要因
2. 宿主側の要因
D 臓器別感染症
E 近年注意すべき感染症(感染症の現状)
1. 新興感染症と再興感染症
2. 輸入感染症
F 人獣共通感染症
G 感染症の検査と治療
1. 感染症の実験室診断
2. 感染症の治療


2章 感染症と生体防御
A 異物の侵入を防ぐプリミティブな防御機構
1. 皮 膚
2. 粘 膜
3. 呼吸器
4. 消化管
5. 泌尿器
6. 眼球と涙
7. 常在細菌
8. プリミティブな排除にかかわる液性因子
9. プリミティブな排除にかかわる細胞性因子
B 免疫をつかさどる臓器と組織
1. 一次(中枢)リンパ組織
2. 二次(末梢)リンパ組織
C 免疫担当細胞
1. リンパ系前駆細胞から誘導される免疫担当細胞
2. 骨髄系前駆細胞から誘導される免疫担当細胞
3. CD抗原
D 炎症とサイトカイン
1. サイトカインの働きと種類
2. サイトカインストームと敗血症
3. 炎症反応の分子メカニズム
E 自然免疫と獲得免疫
1. 自然免疫における認識機構
2. 獲得免疫における認識機構
F 液性免疫と細胞性免疫
1. 液性免疫と抗体
2. 細胞性免疫とT細胞
G 異物に対する攻撃手段
1. 補体系
2. キラーT細胞やNK細胞による細胞傷害
H 感染免疫
1. 細胞外寄生体と液性免疫
2. 細胞内寄生体と細胞性免疫
3. ウイルス感染による多彩な免疫応答
4. ウイルスによる免疫応答の抑制
I 能動免疫と受動免疫
J 過敏症(アレルギー)
1. Ⅰ型過敏症
2. Ⅱ型過敏症
3. Ⅲ型過敏症
4. Ⅳ型過敏症
K 免疫寛容(トレランス)
L 自己免疫疾患


3章 細菌感染症
A 生態系のなかでの位置づけと特徴
1. 細菌の生物学的位置づけ
2. 細菌の構造と機能
3. 細菌の増殖
4. 細菌の代謝
5. 細菌の遺伝と発現調節
B 主要な細菌と疾患
1. グラム陽性球菌
2. グラム陽性桿菌
3. グラム陰性球菌
4. グラム陰性桿菌
5. らせん菌
6. 放線菌
7. スピロヘータ
8. マイコプラズマ
9. リケッチア
10. クラミジア


4章 ウイルス感染症
A ウイルスの一般的性状と生体応答・抗ウイルス薬
1. ウイルスの構造
2. ウイルスの増殖
3. ウイルスの分類
4. ウイルスの遺伝と変異
5. ウイルスの培養と定量法
6. ウイルスの感染経路(伝播様式)
7. ウイルス感染と免疫
8. ウイルスによる発がん
9. 抗ウイルス薬
B 主なウイルスと感染症
1. ポックスウイルス科
2. ヘルペスウイルス科
3. アデノウイルス科
4. パピローマウイルス科
5. ポリオーマウイルス科
6. パルボウイルス科
7. ヘパドナウイルス科
8. オルトミクソウイルス科
9. パラミクソウイルス科
10. ラブドウイルス科
11. フィロウイルス科
12. ボルナウイルス科
13. ブニヤウイルス科
14. アレナウイルス科
15. レオウイルス科
16. ピコルナウイルス科
17. カリシウイルス科
18. ヘペウイルス科
19. コロナウイルス科
20. フラビウイルス科
21. トガウイルス科
22. レトロウイルス科
23. プリオンと感染症


5章 真菌感染症
A 真菌の特徴
1. 真菌菌種の数
2. 真菌の生物学的位置
3. 真菌の細胞構造
4. 病原真菌の形態的特徴
5. 真菌の生活環と学名
6. 真菌の分類
B 真菌感染症(真菌症)
1. 深在性真菌症
2. 地域流行型真菌症(輸入真菌症)
3. 深部真菌症
4. 表在性真菌症
C 真菌を原因としたアレルギー
1. 夏型過敏性肺炎
2. アレルギー性気管支肺真菌症
3. アレルギー性副鼻腔真菌症
D カビ毒とキノコ中毒
1. マイコトキシン(カビ毒)
2. キノコ中毒
E 真菌症と感染免疫・生体防御
F 抗真菌薬
1. 深在性真菌症治療の基本的な考え方
2. 深在性真菌症治療薬
3. 皮膚真菌症治療薬
4. 薬剤耐性とその機構


6章 原虫・寄生虫感染症
A 原虫・寄生虫の特徴
1. 原虫・寄生虫とは
2. 原虫・寄生虫の分類
B 原虫・寄生虫の生活史
1. 宿主への侵入と脱出
2. 生活史のパターン
C 原虫・寄生虫疾患の検査法
D 主な原虫・寄生虫感染症の臨床
1. わが国における原虫・寄生虫感染症の様相
2. 抗原虫薬と抗寄生虫薬
3. 原虫・寄生虫感染症の治療(各論)


7章 化学療法(抗菌薬)
A 抗菌薬(総論)
1. 抗菌スペクトル
2. 抗菌力
3. 組織移行性と細胞内移行性
4. 投与方法
5. PK-PDパラメータ
B 抗菌薬(各論)
1. 細胞壁の合成を阻害するもの
2. タンパク質合成阻害薬
3. DNA合成阻害薬
4. RNA合成阻害薬
5. 細胞膜傷害薬
6. 葉酸合成阻害薬
C 抗菌薬耐性の機構
1. 自然耐性と獲得耐性
2. 抗菌薬耐性の主なメカニズム
3. 薬剤耐性菌出現のメカニズム
D 抗結核薬


8章 感染防御と感染制御
A 感染(症)対策
1. 感染源・感染経路・宿主対策
2. 感染症の監視
3. 法的対策
4. ワクチン(予防接種)
B 院内感染(医療関連感染)とその対策
1. 院内感染
2. 感染制御機構・活動
C 消毒と滅菌
1. 消 毒
2. 滅 菌

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