出版社内容情報
《内容》 がんについて医師・看護婦と患者およびその家族がともに考える本の乳がん編.患者が十分に納得したうえで術式の選択ができるように,医師・看護婦はどこまでどのように伝えるべきかを,確かなデータをもとに患者の視点に立ってまとめたインフォームド・コンセントには欠かせない一冊.今改訂では,「取扱い規約」改訂,「乳房温存療法適応基準」作成による記述の見直し,センチネルリンパ節生検やがん遺伝子についての記述の追加を行い,データを更新した.
《目次》
【内容目次】
1.乳がんの増加とハイリスクグループ
乳がんは急増―なぜだろうか
若い人の乳がんが増えているのだろうか
高脂肪・高カロリーの欧米型食生活は乳がん増加に関係しているのだろうか
―どんな食生活を送ればよいのか
女性のライフスタイルの変化が乳がんの増加につながっているのだろうか
乳がんは遺伝するのだろうか―乳がんの家族歴
両側乳がんとは
2.乳がんの臨床
乳がんの発生部位と進行度
乳がんの治療成績
早期乳がんとは
乳がんの病理組織学的分類
乳がんの悪性度とは
若い人の乳がんは治りにくいのだろうか
3.乳がんの診断―自己検診が基本
乳がんは自分で発見できるがんである
自己検診の仕方
集団検診は有効か
乳房のしこり―間違いやすい良性のしこり
進んだ診断技術―基本はマンモグラフィ,超音波検査,細胞診
腫瘍マーカーの役割
4.乳がんの治療
手術療法の種類
手術は縮小化傾向に
―大きく手術すればするほど治る可能性が高いという考えは乳がんでは誤りである
生存率ではまったく差のない乳房温存療法
―しかし切除範囲を簡単に小さくすることはできない
温存療法はがん遺残のコントロールが鍵である
手術の縮小化にはどんな時代的背景があるのか
乳房温存療法の現状と問題点
早期がんである非浸潤がんがなぜ無条件に温存療法の適応になりにくいのか
日本での乳房温存療法の一般的適応と研究成果
術後放射線治療は乳房温存療法では必ず必要か
腫瘤径の大きなもの(3~4cm以上)に温存療法は無理なのだろうか
現時点の国立がんセンター病院での基本的適応
乳房温存療法のまとめ
―予後の予測やがんの性質の解明が進めば温存療法が増加する
QOL重視のための乳房再建手術
薬物療法の進歩
臨床試験(無作為化比較試験)とは
ホルモン療法の実際
手術後の追跡
手術後の再発と再発後治療の基本方針
手術後の問題点とその対策
手術後の日常生活は活動的に
5.告知の問題とインフォームド・コンセント
告知は事実に基づいて正確に,かつ希望・期待がもてるように配慮する
乳房温存療法におけるインフォームド・コンセント
臨床試験におけるインフォームド・コンセント
付録1:もう少し深く知りたい方のために―用語解説を中心に
付録2:乳がん治療の最前線―やや専門的な内容を
内容説明
現在急激に増加しつつある乳がんに対し、乳がん臨床医たちは多くの課題に取り組んでいる。本書ではその中でもとくに議論の対象となっている「乳房温存療法」と「臨床試験」を中心に、その問題点をできるだけ客観的に、かつわが国での成績・成果を含めて記述した。さらに集団検診は有効か、手術の範囲はどこまで縮小できるのか、再発の予測は可能になるのか、乳がんは遺伝するのか、抗がん剤はどの程度有効で進歩しているのかなどの、日頃医師会の講演の際や患者の方々から受ける質問を想定して構成した。
目次
1 乳がんの増加とハイリスクグループ
2 乳がんの臨床
3 乳がんの診断―自己検診が基本
4 乳がんの治療
5 告知の問題とインフォームド・コンセント
付録(もう少し深く知りたい方のために―用語解説を中心に;乳がん治療の最前線―やや専門的な内容を)
著者等紹介
福富隆志[フクトミタカシ]
1954年東京上野生まれ。1980年慶応義塾大学医学部卒業。1987年国立がんセンター中央病院勤務。1990年乳癌の内分泌療法の研究で医学博士。現在、国立がんセンター中央病院外科医長。主な研究テーマは乳房温存療法、予後因子、遺伝性乳癌など
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