内容説明
暴力と人間性のかかわりをテーマに展開する多彩な文学論16篇!
目次
序文 鉄のハードルを乗り越えるために
1 アメリカ近代の歴史と暴力
2 モダニズムとその陰画
3 ポストモダンの現在形
4 女性作家と暴力の表象
5 日本文学への視座
対談 文学は暴力に抵抗できるのか―フォークナー、メルヴィルほかの作家たちをめぐって(千石英世;藤平育子)
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感想・レビュー
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『マクティーグ』にリアリズムが捨象せざるえない小説の可能性(個人的には50年代以降のトンプソン的ノワールの先駆だと考えている)を論じる諏訪部論文、シンクレア・ルイスのリアリズムが表象する暴力を論じる田中論文、ナボコフ『プニン』における「痛み」と語りの関係を論じた若島論文などが興味深かった。扱われる作家・作品が多岐にわたっており(コールドウェルまでいる)、専門外の知識をいろいろと広げることができた。とはいえ、「博論」級の長さを書いたことがあるかどうかで論者の間に明らかに力量の差がみられたのも哀しいかな事実。2014/12/17