内容説明
活力に満ちあふれたヴィクトリア朝の出版文化を背景に、ジョージ・エリオットはいかにして文壇の頂点に登りつめたか。作家の全執筆活動を検証する。
目次
ジョージ・エリオットと執筆活動
ジャーナリズムへの道―修業時代
自己表白のカタルシス―評論活動
海辺の生活から生まれたもの―「イルフラクーム回想録」
芸術か、市場か―『牧師生活の諸景』
禁じられた恋と楽園追放―『アダム・ビード』
主情の嵐の中で/「家庭の天使」と新しい女―『サイラス・マーナー』
歴史小説と絵画―『ロモラ』
悲劇・笑劇・幕間狂言―『急進主義者フィーリクス・ホルト』
三巻本と貸本屋に挑戦する―『ミドルマーチ』
新境地を拓く―『ダニエル・デロンダ』
ジョージ・エリオットをめぐる人脈
著者等紹介
冨田成子[トミタシゲコ]
津田塾大学英文学科卒業、大阪大学大学院文学研究科博士課程後期単位取得退学。甲子園大学教授を経て、現在、甲子園短期大学特任教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケイ
111
19世紀の女性作家は数あれど、世に名をのこすのは、エリオット、オースティン、ブロンテ姉妹のみ。まず中流以上でなければそもそも学問の機会を得られなかった。筆者は、エリオットの筆力だけでなく、本人の持って生まれてた環境、また編集者や知識人との交流に恵まれていたと語り、それをくわしく説明している。当時の女性が受ける教育は、知的な花嫁学校とでもいうべきものだったろうから、それに父が買ってくれた書物という幸運があったとしても。本人の知的興味が強かったに違いない、また知識人が目にとめる利発さや会話術があったのだろう。2022/08/30
Mana
0
ジョージ・エリオットの作品と執筆活動について。エリオットの執筆活動に的を絞っていてメアリアン自身についての説明が少なかったので少し分かりにくかった。先に伝記を読めば良かった。文章が少し難しかったけど内容が面白かったのでけっこうスムーズに読めた。小説の解説が凄くよくて本物を読んでみたくなる。メアリアンと夫ルイス、編集者のブラックウッドの3人の協力体制がとても良い。こういう友情って素敵だと思う。著者は津田の卒業生。本書は論文の加筆・修正版。2011/05/18