内容説明
麻衣は大学の友人・弓の結婚式に出席するために島根県の山奥の集落へ向かう。そこはニシのミズチがヒガシのお姫様と結婚を望み、天狗に討伐されたという言い伝えが残る因習的な村だった。七十年前のニシとヒガシの結婚式、不可解な弓の言動、麻衣が夢でみていた景色と同じ情景。困惑の中で華燭の典が始まる。
著者等紹介
川辺純可[カワベスミカ]
広島県呉市生まれ。日本女子大学文学部卒。2013年、『焼け跡のユディトへ』で第6回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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momi
34
この村では魔が宿る…。物語はミズチと天狗の伝説が残る山奥の村で花嫁の失踪から始まります。因習…伝承の残るこの村では過去にも事件がおきました…70年前この村で何があったのか!?主人公「麻衣」はこの因習的な「村」に誘われて来てるような薄気味悪さを感じます!菜の花畑で会った色白の少年…。うっ、これはホラー?!不気味さと恐怖に襲われそうになりますが一番恐ろしいものは…やはり醜い人の心なのでしょうか!!一気読みでかなり作品にひきこまれましたが…あと一息…おしいです。2021/08/26
うまる
32
興味を引く所はあるし、終盤はちゃんと伏線回収されるので、凄くつまらない訳ではないのですが、全体的に薄味でした。まったりぼやっとした感じが、タイトル通りおぼろ月風の味わいだと言われればそうなのかもしれませんけど。 田舎の伝承系の話は既に色々な作品がありますので、これくらいで満足できる人は少ないかなと思います。単行本という事を考えるとなおさら。2021/11/04
だるま
11
田舎の大地主の長男と政略結婚をさせられる事になった弓。その結婚式に招かれた友人の麻衣。だが、結婚式が終わった後、弓がいなくなってしまう。その大地主の家では70年前にも花嫁が失踪し、事件は未解決のまま。弓の失踪と何か関係が?・・・というストーリー。うーん、何というか、全てが肩透かしだった。いなくなった弓を探す麻衣は、途中で何度も幻覚を見たり、危険な目にも合うのだけど、懲りずに無謀な行動をとる。弓にしても、自分勝手な上に浮気性。これでは読んでいて誰にも感情移入が出来ない。真相も、ただ読者を驚かせたかっただけ?2021/09/21
なお
7
天狗やミズチの伝説の残る因習村、和風ファンタジー味のあるミステリーかと読み進むもラストに結構な肩透かし、回収はされているけど納得はいかないという感じ。途中まで面白かったので余計残念。2024/02/12
N.蘭子
7
友人の結婚に立ち会うため、因習の村を訪れた麻衣。そこは自分の夢に繰り返し現れる既視感あふれる場所で・・。 怪異めいた設定や村の因習は面白いが、人物に焦点をあてすぎて本格としての魅力が半減。(余計な人まで描きすぎ) 犯人は途中でなんとなくわかったが、最後にすべてを理詰めで説明しようとしすぎてないか?怪異は怪異のままで残せばよかったのなあ。(三津田に慣れすぎ・笑) 南雲堂のこのシリーズ大好きだけど、本作はぶっ飛んでても許せた今までと違う印象。確かにおぼろ月です。2021/10/01