内容説明
かつて、わが国の株主は、株主総会に姿を現すことも少なく、自らの権利を主張することもなく、「眠れる森の美女」と称されるつつましやかな存在であった。しかし、いまや、その美女は経営者にとって敵対する存在と化し、経営を脅かす存在となった。結果、株主を迎えての総会は戦場と化し、株主との訴訟合戦の舞台となる裁判所は闘技場へと変貌した。本書は、全巻すべて“株主”と経営者の相剋の書であり、実例をもとにした、M&A株主と株買占めから、企業を防衛する戦いの記録である。
目次
第1章 M&Aと企業買収
第2章 M&Aをめぐる攻防(コーリン・国際航業事件―内紛、全面戦争のすえ防衛側が敗れた事例;ピケンズ・小糸製作所事件―外国人投資家による株式買占めをめぐる法的問題の検討;タクマ・コスモポリタン事件―第三者割当増資により企業防衛に成功した事例;秀和VS忠実屋・いなげや/高橋産業VS宮入バルブ製作所事件―平成元年における第三者割当増資をめぐる地裁決定の検討;三井鉱山事件―自己株式高値買戻しが企業買収への対抗策とならないとされた事例;バーリントン/エル・パソ事件―海外の防衛事例と防衛手法のわが国への導入の可能性)
第3章 商法・証券取引法にみる株主の権利と防衛策