内容説明
本書は、戦後日本企業の経営財務行動をあとづけながら、戦後日本企業の経営財務の特徴が何であって、現在そのどこに問題が生じているのかを、明らかにしようとするものである。日本の金融システム改革論議に関わり、欧米型コーポレート・ガバナンス・システム導入論が台頭するなか、日本型経営財務の利点を維持しつつ、経営者の責任を十分認識した新しいガバナンス機構を作り上げるべきことを指摘する。
目次
第1章 日本的経営財務の特徴―濃密な企業間関係とメインバンク制・株式相互持合いによる資金融通体制
第2章 高度成長期日本企業の財務行動―積極的な設備投資を支えた長期資金供給体制とリスクの分担
第3章 長期取引関係に裏付けられた株式相互持合い―メインバンクと企業の長期安定的関係の実証分析を中心に
第4章 相互持合い構造とエクイティ・ファイナンス―額面発行時代から時価発行時代へ
第5章 株式相互持合い・株式時価公募と経営者権限の強化
第6章 エクイティ・ファイナンス盛行によるプレミアムの大量発生とその問題点―新旧株主の利益の不均衡の実証分析とその意義
第7章 安定成長期の日本企業の財務構造と公募増資の実態
第8章 バブル生成・崩壊期における日本企業の投資行動の特徴とその問題点
第9章 1980年代後半のエクイティ・ファイナンス盛行と経営者の責任
第10章 日本企業の財務行動とコーポレート・ガバナンス
著者等紹介
松村勝弘[マツムラカツヒロ]
1945年京都市生まれ。1972年立命館大学大学院経営学研究科博士課程単位取得。1972年立命館大学助教授。1985年同教授、現在に至る。1999年博士(経営学)
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