内容説明
「多くの企業にとってトヨタ生産方式の導入は何故、困難であるのか」―「困難さ」の主因は、1980年代以降に生じた生産の論理と会計の論理の「ねじれ」にある。生産の求めていることと、管理会計の求めていることが整合しなくなったのである。この生産と会計のインターフェースを正さない限り、「ジャスト・イン・タイム」の世界への普及は容易でないと思われる。システム導入が躓くもうひとつの理由は、トヨタ生産方式を製造に限定した部分システムとして捉えがちなことである。トヨタ生産方式の導入は、経営についての考え方の切り替えを伴うから、社長はもとより、本社の企画や経理部門の考え方や工場へのコミットの仕方を変えてはじめて可能となる。
目次
プロローグ 中国で競う世界の自動車メーカーのマネジメントシステム
第1章 前世紀の経営管理システムの回顧―そもそも「管理」とは
第2章 全体最適システムデザインのプロトタイプ―1985年T社H工場の事例
第3章 システム・リ・デザインの概念装置を整える
第4章 場所特性と手法特性―自己の位置づけと手法の適合性を確かめる
第5章 製品中心のシステム・アーキテクチャー―トータルシステムを「製品中心」に描く
第6章 製品戦略領域のシステム再設計―リ・デザインの要点その1
第7章 現場力(オペレーション領域)のシステム再設計―リ・デザインの要点その2
第8章 日本経営管理標準―Japan Management Standard:JMS
第9章 会計の論理と生産の論理を統合せよ―リ・デザインの要点その3
補章 2004年中国トヨタグループ訪問調査