内容説明
キャッシュ・フロー計算書が、近年、証券市場に対して提供される財務諸表の体系に組み込まれるようになった。それは、キャッシュ・フロー情報が証券投資者の意思決定に有用であるという情報的視点からである。本書のねらいは、キャッシュ・フロー情報の有用性を検証することにある。そのために、まず概念的・歴史的な観点から検討し、アメリカおよびイギリスにおいて展開された実証研究をサーベイしている。その上で、本書の主たる課題であるキャッシュ・フロー情報に関連する実証的な分析結果を提示してその有用性を検証している。さらには、近年のキャッシュ・フロー計算書会計基準の国際的調和の動向を概観し、キャッシュ・フロー情報にもとづく国際比較分析を行っている。
目次
第1章 キャッシュ・フロー情報の現代的意義
第2章 アメリカにおける資金計算書の発展過程
第3章 キャッシュ・フロー計算書の有用性
第4章 キャッシュ・フロー情報の有用性―アメリカにおける検証
第5章 キャッシュ・フロー情報の有用性―イギリスにおける検証
第6章 キャッシュ・フローの情報特性―会計利益との比較
第7章 キャッシュ・フロー情報の時系列特性と期待モデル
第8章 キャッシュ・フロー情報に対する株価反応
第9章 業種別キャッシュ・フローの情報内容
第10章 連結キャッシュ・フロー情報の有用性―SEC基準キャッシュ・フロー計算書の情報内容
第11章 キャッシュ・フロー計算書会計基準の国際的調和
第12章 キャッシュ・フロー情報の国際比較
補章 新会計基準にもとづくキャッシュ・フロー計算書の分析
著者等紹介
百合草裕康[ユリクサヒロヤス]
1962年9月、愛知県生まれ。1986年3月、関西学院大学商学部卒業。1988年3月、関西学院大学大学院商学研究科博士課程前期課程修了。1991年3月、関西学院大学大学院商学研究科博士課程後期課程単位取得退学。1991年4月、奈良産業大学経済学部専任講師。1993年4月、奈良産業大学経済学部助教授。1996年4月、三重大学人文学部助教授
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