内容説明
企業の財務公開制度をめぐる最近の展開は非常に劇的であり、会計基準の新設や改訂が精力的に促進され、財務報告がよりいっそう拡充されるとともに、それに応じて監査も革新的な対応を追られている。このような変革は、会計学や監査論の研究領域の拡大を通じて、数多くの新しい研究トピックスを提示し、多くの研究者が新しい課題に取り組んできた。また、その研究は、取り上げられる課題や議論の範囲の拡張にとどまらず、経済モデルを用いた分析や、日本の現実のデータを基礎とした実証研究の手法を導入するなど、研究方法の面でもいっそう精緻化しつつある。本書は、財務公開制度をめぐるそのような研究範囲の拡大と研究手法の高度化を踏まえて、ディスクロージャー制度論の諸問題に多面的に取り組んだ研究書である。
目次
第1部 財務報告論の新展開(会計情報の事前的機能と事後的機能;社債格付け予測における会計情報の有用性に関する実証研究;店頭登録企業の業績予想修正に対する株価反応;発生主義会計と経営者インセンティブ―契約理論研究による最近の展開;財務報告コストと税コストの非相互排斥可能性 ほか)
第2部 監査論の新展開(企業危機に対する監査・会計の対応―金融機関監査を中心として;金融危機後のわが国の公認会計士監査;チェック・リスト―今日の環境下におけるその意義論;Uncertaintiesと監査報告書;三菱合資会社における内部監査機構の変遷 ほか)